糸島新聞
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まち角

2018.09.24

その線路は、1935年に北九州鉄道が敷設した。83年に地下鉄空港線と相互乗り入れし、糸島から天神、博多駅、そして空港へと延びる。筑前と肥前を結ぶから筑肥線。毎日、通勤通学、買い物、観光の客を運ぶ▼その電車で福岡から糸島に帰る時は、進行方向に向かって左側に座る。座れなければ、右のドアのそばに立つ。なぜって?海が見えるから▼姪浜で地上に出た車両が下山門駅と神社を過ぎると、民家を包むように松林が広がる。家がまばらになるころ、その松越しに海が見えてくる。潮の香りもしてくるようだ▼海沿いの病院を追い越すと、車窓いっぱいに博多湾が広がる。香椎浜のタワーマンションと、百道浜の福岡タワーが一望できる。志賀島が思いのほか西側にせり出しているのに、驚かされる▼視界を遮る長垂のトンネルを抜けると、そこは糸島。松林と線路の間を国道202号が走る。銀色に光るトレーラーハウスの先に、白い波頭の海が広がる。浜辺を散策する人や自転車で走る人たちも見える。「帰ってきたぁ」という気持ちになる瞬間。牧のうどん今宿店あたりで海は見えなくなる。次の海は筑前深江駅の手前あたりだろうか▼旧唐津街道が202号より海側に残る。同じ海を、神功(じんぐう)皇后、仙厓(せんがい)和尚、山頭火翁も見たのか。それぞれの胸の内には、どんな思いが抱えられていたのか。秋の気配が濃くなる季節。歴史や自然に思いをはせながら、空想の翼を広げるのもいい。

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