糸島新聞
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まち角

2020.07.25

 子どもの頃、食事前には家族そろって「いただきます」と手を合わせた。「ご飯は、88回噛まないかんよ。お百姓さんが、88の手間ばかけんしゃあけん『米』ってゆうと」とも教わった。命を戴く実りへの感謝、消化のための知恵▼パンとサラダ、シリアルとヨーグルトなどの朝食が増えた。家族が食事をする時間もバラバラになった。食への感謝の思いがおろそかになってはいないか▼7月の豪雨は、九州でも命や財産を奪い、惨状に立ち尽くす多くの人を生んだ。糸島でも斜面が崩れた。志摩小富士の水田は泥水に漬かり、泉川の川幅が2倍になったようだった。どうなることか思っていたら、水が引いた水田では、一部を除いて緑鮮やかな苗が風に揺れている▼「稲の苗は強い。短い冠水だったら、水が引くとたくましく育つ」「今年は、水不足の心配はなかったが、日照時間が短く、ウンカも多い、これからが気を抜けない」とDr.コトーことJA糸島の古藤俊二さんから教わった▼米作りは糸島弁で、まがかけ(代掻き)、ねづけ(田植え)、がんづめうち(草取り)、でほみず(灌水)、かまいれ(稲刈り始め)、うっすり(脱穀)などなど、「手間は88を超えるでしょう」と古藤さん▼その米は、それぞれの家でとがれ、炊かれ、よそわれる。多くの人の手間を経て、ようやく食卓に並ぶ。「いただきます」と「ご馳走さま」は、ゆめゆめおろそかにはできない。

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