糸島新聞
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まち角

2020.12.11

吉良上野介は穏やかな品格を備えた紳士、大石内蔵助は超めんどくさがりの生臭家老、浅野内匠頭は、背が低く髪が薄い肥満かつ辞世の句も詠めない短慮の男。松の廊下で長袴につまずきカッとして、たまたま近くにいた上野介に切りつけた▼先日、実家で手にした「つか版・忠臣蔵」にはそう書かれていた。福岡出身の劇作家つかこうへいが34歳の時に書いた。その設定は奇想天外。巷の「忠臣蔵」ファンは、さぞやお怒りのことだったろう▼30数年前に書かれたとは思えないほど、新鮮で破壊的かつ自虐的な内容には「公のうさんくささ」や、今でいう「LGBT」などの社会的テーマが、旺盛な批判精神をまとい盛り込まれている。芝居というアンダーグラウンドで育まれたその精神が、読者を打ちのめす▼その本は、大手出版社角川書店から出版され、大手取次が書店に届けた。本のカバーは紀伊国屋書店のもの。きっと、天神コアの6階で求めたのだろう▼世界中に拡がる、意見の異なる他者への反応の激しさを見聞きするにつけ、あの頃は、他者への「寛容」や「容認」のようなものが世間に漂っていたのでは?と思う▼つかこうへいが亡くなって10年の今年も、討ち入りの日12月14日が巡ってくる。義士が眠る品川の泉岳寺での義士祭は自粛だが、各々の墓前の数多くの線香から、恩讐を包み込む芳香と煙が一帯に漂うのだろう。

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