糸島新聞
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まち角

2021.03.12

「倍返し」はドラマ半沢直樹の決めゼリフ。作者の池井戸潤さんは、その半沢が活躍する「花のバブル組」と「ロスジェネ」の間に「民王(たみおう)」も書いた。政界のしがらみに囚われた総理と、大学生で遊び好きなダメ息子の人格が入れ替わるという大胆な設定▼入れ替わったふたりは、相手の役割を演じながら、お互いへの理解を深めていく。親子関係の深化を描いた心地よい読後感の一冊だ▼さて、現実の「総理の息子」。総務省幹部が利害関係者である総理の長男と会食し、お土産やタクシーチケットも受け取り、処分された。「女性活躍の象徴」と評されていた内閣広報官も突如辞職し、さらなる疑惑も取りざたされている▼もちろん許されるはずはなく、真相の究明が求められる。だが、左遷を明言する総理の息子がらみでの「会ってはならない人」との会食を断る官僚には相当な勇気が必要だったろう。「モリ、カケ、サクラ」と次々と出る総理がらみの疑惑に「ハキ、キョギ、インペイ」する官僚の姿には、もはや哀れみさえも漂う▼一方、立派な親の傘の下の総理の息子は何を思っているのか。その親は何を考え、親子でどんな会話をしているのか、知りたくもあり知りたくもなし▼「民王」は、親子が「一番大事なこと」のために歩み出す場面で終わる。読者に、若き日の理想を思い起こさせ、明日への希望も抱かせてくれた。

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