糸島新聞
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まち角

2021.08.6

 おちょこちょいのハチベエ、優しいモーちゃん、物知りのハカセ。小6の3人組が活躍する「ズッコケ3人組」。先月、作者の那須正幹(まさもと)さんが亡くなった▼那須さんは3歳の時、広島市で被爆。爆心地方面から逃げてくるやけどを負った多くの人を見たという▼20年ほど前、山口県防府市のご自宅を訪ねた。小学生が「会いたい人に会える」企画の一環。那須さんは、子ども達を書斎に通し、丁寧に質問に答える。やおら「イカ釣りに行こう」と自ら舵を握り、子ども達を海原で遊ばせた。その眼差しの優しかったこと。ズッコケに原爆は出てこない。それを問うと「ズッコケの中で、どう表現すればいいのかが、まだわからいから」と▼原爆の子の像建立運動を子ども目線で追った「折り鶴の子どもたち」「絵で読む広島の原爆」など、命を尊び、反戦と平和を願う作品を数多く遺した。防府市出身の作家高樹のぶ子さんは「被爆者としての主義主張を内に秘めていた。声高にではなく作品の中で子どもたちに静かに伝えていた」と訃報に寄せた▼シリーズ最終巻「ズッコケ熟年三人組」は、広島土砂災害が題材。中学教師になったハカセが教え子の安否を尋ね回る場面を原爆投下後の広島に重ねた▼那須さんは「あの日、死んでもおかしくなかったのがこれまで生きてこられた。戦争を記憶する僕らが、伝えていかなければという責任感は感じるね」と、6年前の中国新聞(広島)の取材に応じた。76回目の夏が来る。

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