糸島新聞
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まち角

2021.09.17

西シ銀糸島支店のATMコーナーに配された組子作品

コロナ前、JR九州の観光列車の記事を見た。内装の大川組子が非日常を演出し、その華麗さと、旅行代金に目を丸くした▼糸島にも組子職人がいる。前原の老松神社門前、松尾組子工芸の松尾義幸さん(72)。29歳で出会った建具工芸研究会の組子図案集に魅せられ、組子に取り組む▼この夏、工房で汗を滴(したた)らせ、大小、直・曲線の木を駆使し「松皮菱」、「紗綾(さや)型くずし」、「変わり木瓜(もっこう)菱」などによる4種6枚の組子に挑んでいた。西日本シティ銀行の新糸島支店(前原中央)を飾るという▼依頼を受けた松尾さんは、材に「あすなろ」を使うと決めた。「明日はヒノキになろう」という希望に満ちた名前と明るい木肌が新店にふさわしく、その香りが来店者を迎えてくれたら、と考えたからだ。ところが、どこの材木店もあすなろを扱っていない。諦めかけていた時、たまたま杉を求め訪ねた店の片隅に積まれていた。縁を感じた▼木は組子の技で、強さ、優しさなど多様な表情を惜しげもなく見せる。「組子は木のひのき舞台やけん、心ば込めて細工せないかん」と話す▼店内のギャラリーには、松尾さんの組子のコースターも並ぶ。旅に行けない今、あすなろの香りを供に、心の旅にでかけてみては。

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