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まち角
2022.03.4
昭和30年代、まだ元気だった親の帰省は、国鉄に乗って駅弁と陶器に入ったお茶と冷凍ミカン。トンネルに入る前には、機関車の煙が車内に入らぬよう慌てて窓を閉めた。窓枠に腕が触れ服を汚し、叱られたことも懐かしい▼その窓では、多くのホーロー看板が後方に去っていった。ホーローは琺瑯と書き、金属にガラスの釉薬(ゆうやく)をかけて焼く。光沢があり耐久性にも優れ、昭和30(1955)年代が最盛期だったが、テレビの普及などでその役目を終えた▼それが展示されていると聞き、志摩歴史資料館(糸島市志摩初)の「ホーロー看板コレクション」に出かけた。糸島市在住の堀田勝国さんが四半世紀以上かけ集めたという▼入口近くには「地元商店の看板」コーナー。富士寿し(前原商店街)、一力寿し(前原町高田)、濵長寿司(周船寺商店街)、銀寿し(二丈町役場前)、ひとみ堂(まえばる1番街)などの看板が並ぶ▼「学生服」「蚊取り線香」「綿」「ビール」「ソース」などの各コーナーに約50枚のホーロー看板が展示される。浮き出た赤茶色のサビが、風雨に耐えた日々を語る▼会場に置かれたノートには、昭和世代の来場者が「昔のセピア色の懐かしい風景を思い出しました」「少し不自由なくらいが楽しく、とてもよかった昭和の時代。ありがとう!」などと書いていた。21日まで、月曜休館。大人220円。