糸島新聞
1917(大正6)年創刊

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まち角

2022.03.25

 浅草寺の雷門を背に数分歩くと、右手に「並木の藪(やぶ)」。神田、池之端と並び三大藪と呼ばれる蕎麦(そば)の名店。使い込まれた机、お盆、そして蕎麦の香。酒は杉樽の「菊正宗」▼粋な親父が暖簾(のれん)をくぐり「冷やとざる」。届いた日本酒をキューっとあおり、蕎麦をズズっとたぐり(江戸っ子は、蕎麦を「たぐる」)、「勘定」。10分ほどで店を出る。グダグダと酒を飲んでの長居は「粋じぇねえ」そうだ▼その並木の藪を大好きな岡田拓也さん(32)が、前原東に天婦羅と蕎麦の店「月を忘れてゐた」を開いた。店名は、学生の頃親しんだ萩原朔太郎の詩から借りた▼宮崎の高校では、アメリカンロックに憧れバンドを組んだ。地元の大学は、学ぶ意味を見出せず中退。バンド仲間を頼り上京。ライブハウスで演じる傍ら、飲食店でバイト。食の奥深さに触れ、「飲食で食っていく」と和食やイタリアンで修業した▼糸島に店を構えたのは、唐津が実家の奥さんと度々訪れた糸島の海や山、田畑の風景、何より優しい人柄に導かれたから▼十割(とわり)蕎麦のそば粉は、鹿児島県鹿屋市の在来種ながら、すっきりとした味わい。野菜は卯(うさぎ)農園、エビは浜玉町、白糸酒造の酒、杉能舎・蔵屋の糸島ビールと地元にこだわる▼粋じゃねえかもしれねえが、天婦羅をあての白糸の冷やをグダグダ飲みてえ。締めは、十割のざる。弊社一階ですので、ごひいきに。

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