糸島新聞
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まち角

2022.04.22

地口(じぐち)は駄洒落(だじゃれ)の親戚で、掛詞(かけことば)・もじる・韻を踏む、言葉遊び。フーテンの寅さんの啖呵売(たんかばい)はよく知られる。「恐れ入谷の鬼子母神」は「恐れ入る」と「入谷の鬼子母神」を掛けた。「その手は桑名の焼き蛤」もそう。「舌切り雀」をもじり「着たきり娘」。「あたりき、車力(しゃりき)、車引き」「ありが十(とう)なら、ミミズは二十(はたち)」は韻を踏む▼前職の同期Nは、よくそんな地口をたたいた。東京勤務時、先に赴任していた彼が連れていった200円の公立中学プールや東京ドームのホークス戦は、単身赴任生活に彩を添えた。球場の飲料チェック逃れでバッグに缶ビールを潜ませる技も習った。競馬もNが師匠。ゴルフでは「俺がキャディしちゃあけん」とプレイ費を安くあげた。仕事も一緒にしたはずだが、覚えているのはそんなことばかり▼そのNが先週、63歳で逝った。10日後の実父の3回忌の手はずを全て整えて。会社への「体調すぐれず、今日は休ませて」が最後の電話。日々の営みを遊び尽くす達人と、もう一度糸島で飲(や)りたかった▼納棺のBGMは、Nが好きだった永ちゃんとサザン。気丈に振舞っていた奥さんが「歌を聴いて、棺のNが笑ったような気がする」と涙した▼理不尽な先輩の無茶振りには「きゅうりがパパ、なすがママ」と小声でつぶやき片目をつぶってみせた。あの世でも、父親に「よご雑餉隈(ざっしょのくま)」「いとし恋しい糸島の鯛」とでも言っているのだろう。

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