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いざ11日、糸島路へ  それぞれの思い胸に 福岡マラソン特集

2018.11.8

 福岡市・天神を出発、糸島路を駆けゴールの糸島市志摩初(交流プラザ志摩館付近)まで42・195㌔を一斉に走る「福岡マラソン2018」(福岡市、糸島市、福岡陸上競技協会主催)の号砲が11日、鳴る。参加ランナー1万2千人、ボランティア延べ約4千人のビッグイベントだが、胸に秘める思いは一人一人違う。糸島市在住のランナー3人に、大会に懸ける思いを聞いた。

5時間切りを目指し練習する末武さん=4日午前、糸島市高田

 「友達の応援、何より力に」 うつ克服の末武奈津子さん(50)

 「達成感より、家族や友達への感謝しかありませんでした」。糸島市高田の団体職員、末武奈津子さん(50)は、2015年の大会で初マラソンに挑戦。ゴール瞬間の気持ちを覚えている。

 仕事の忙しさに加えPTAやボランティアの役目が重なり、30代後半にうつ病と診断された。ベッドに寝た切り。入退院を繰り返した。「自分が元気になることはもうない。私に生きてる価値なんてない…」。絶望の底で死の淵もさまよった。家族や友達の支えで6年ほど前、うつの長いトンネルを抜け出せた。

 14年に大会ボランティアをした際、残り5㌔で歩くランナーをたくさん見て「歩いてもいいなら」と翌年エントリー。

 3年前の当日、末武さんの最悪の状態を知る友達らが、沿道で名前を大書した看板を持ったり、声掛けしたり。ゴール後はハグで迎えられた。夫も「すごい!」を連発。「自分でも頑張れた、と大きな自信に」。

 福岡マラソンはくじ運よく、4年連続出場。「他の大会にも出るけど、仲間の差し入れや友達の声援がもらえるのは福マラならでは。応援が何より力になります」。今年は2度目のサブ5(5時間切り)を狙う。

練習コースを快走する栗之丸校長=3日午前、糸島市潤

 「生徒応援のため完走する」糸島農高・栗之丸隆太郎校長(59)

 大会出場は3度目。走る目的は、「頑張る本校の生徒たちを応援するため」と話す。どういうことなのか。

 栗之丸校長は2015年の福マラ出場が初のフルマラソンで、完走。翌年はあえて出ず、ゴール地点でランナーたちの首に完走メダルを掛け、タオルを渡すボランティアをする自校の生徒たちに、声を掛けようとするも近づけなかった。ゴール付近の混乱を避けるための規制。「ならばランナーとして走ればいいんだ」。

 昨年も抽選に当たり、5時間20分でゴール。懸命にボランティアをする生徒たちに「おつかれさん」。生徒たちは「校長先生~」と感激し、がっちり握手した。

 今年も生徒たちと熱いハイタッチをするため、完走を誓う。「けがなくゴールするにはトレーニングが大事」。往復5㌔の練習コースを週3回走り、ジムで脚の筋トレも欠かさない。来春、定年退職を迎える。現職の教育者として生徒たちに声掛けできるのはこれで最後、という気持ちも。当日は、バスケットボール部の生徒に借りた、校名入りの赤いユニホーム姿で力走する。

本番用のユニホーム姿の平川さんと作り法被を持つ悦子さん

 「沿道の応援、ちゃんと伝わる」  聴覚障害のある 平川俊彦さん(77)

 聴覚障害がある77歳のランナーが、5時間半で走り切る目標を立て、2回目の福岡マラソンに臨む。糸島市前原東の平川俊彦さん。

 長距離を走り始めたのは40歳から。56歳でフルマラソンを完走し、歓喜に浸った。東京や四国、沖縄など国内のマラソンや自転車の大会に、これまで600以上出場してきた。スポーツ大会に出るのが大好き。

 栄養バランスを考えた食事で日頃から夫を支え、大会は応援に回る妻悦子さん(75)。悦子さんもろうあ者の体育大会の短距離走で上位入賞経験がある。

 自宅居間には、平川さんが大会で勝ち取ったトロフィーなどがずらり。テーラーだった平川さんは大会ゼッケンで法被を作った。「でも、恥ずかしくて着れないのよ」と悦子さんはほほ笑む。

 「沿道の応援の声は聞こえないが、口の動きや表情、身ぶりでちゃんと伝わる。うれしくて、ありがとうと伝えたい」。そんな平川さんは話す。「福岡マラソンの応援はとても温かく感じた。今後もいろいろな大会に挑戦し、夫婦二人三脚で走り続けていきたい」。

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