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「移転メリット、農学系が最大」  九州大大学院農学研究院・福田晋研究院長 (61) 「九大農業」連携 インタビュー連載 (下・前編)

2018.10.25

農学研究院などが入るウエスト5号館前に立つ福田研究院長

 ◆百周年の前年に

 ―九州大の農学系の研究組織である農学研究院、教育組織の農学部などのトップとして、伊都キャンパス移転をどう捉えているか。

 「糸島は大きな農業地帯で、海や山もあり人を引き付ける土地。ここにキャンパスが移ったのは九州大としてむろん意味があるが、農学研究院、農学部にとって『フィールドが近い』のは非常に大きな武器。移転のメリットは他のどの学部より大きい。この話は後半(次号掲載分)で詳しく話す」

 ―農学部は来年、創立百周年を迎える。

 「本学の農学部は1919年、東京大、北海道大に次いでわが国で3番目にできた。来年、われわれは新たな100年に向けてスタートする。その前年の移転というのが画期的なこと、としみじみ感じる」

 ◆遺伝子、気候、食

 ―九大農学部はどんな研究をしているのか。

 「私たちの研究の4本柱がある。その一つは『新農学生命科学領域』。農場でものを栽培する農学の原点に対し、生物の分子機構まで掘り下げた研究を行う。九大はイネやカイコの遺伝子資源を長年蓄積し、その多様性の解明と利用を目指している。ベトナムにおけるイネ育種研究、あるいはカイコを使って発現しにくいタンパク質を生産し、動物用ワクチンなどを作る九大発ベンチャーも進められている」

 ―研究のイメージが少し湧いてきた。

 「『環境科学領域』は、農地、用排水、農業機械など生産基盤の問題や農業気象までカバーする。『国際アグリフードシステム領域』では、アジアの食料生産力を上げるため、技術や制度の支援や移転を行う。『食科学領域』は、食べ物を通じて人を健康にする研究。食の加工や衛生の専門家もおり、糸島地域とコラボできるジャンルかもしれない」

 ◆Qシリーズ展開へ

 ―研究成果で具体的な分かりやすい例は?

 「商品化されて一番流通しているのは『唐津Q(キュー)サバ』。佐賀県唐津市と九大の共同研究で、難しかったマサバの完全養殖に成功した。アニサキス(寄生虫)フリーとされ、サバが刺し身でおいしく食べられる」

 「また、久住高原(大分)の農学部附属農場で研究、生産されている九大のブランド和牛『QBeef(キュービーフ)』は、適度に霜降りが入る赤身肉で、和牛として比較的安く食べられる。詳細は省くが〝逆転の発想〟から誕生した。今後、出荷量が増えればもっと人気が出るだろう」

 ―高糖度のブドウ「BKシードレス」もある。

 「農家が育成しやすく徹底して甘さを追求した九大農場発の農産物だ。苗木は、福岡県内はもとより全国に供給している。九大ブランドの食べ物を『Qシリーズ』として押し出したい。品種名であるBKシードレスも、いずれその一角を担わせたい」

※本連載は3回を予定していましたが、福田研究院長の回を前編と後編に分けます。

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