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「だしで差別化、他はまねできず」 釜揚げ牧のうどん(糸島市神在)・下 シリーズ~糸島のすごい企業

2018.09.12

◆昆布代が8~9%

「牧のうどん」のうどんを初めて食べた人はまず、麺の量に目を丸くするが、だしの利いたつゆのうまさは余韻となり、麺のもちもち感とともに舌の記憶に残る。

天然素材による和風だしは、かつお節、さば節、うるめいわし節に加え、高級昆布として知られる北海道の利尻昆布を使う。昆布の量は創業以来、半端なかったが、畑中俊弘社長(56)が就任してからさらに増量、味を変えてきたそうだ。

全18店舗の年間使用量は32~33㌧。「利尻昆布の2017年の生産量が900数十㌧。だし用は半分で、その7%程度をうちが買っている計算」という。しかも、「京都の和食や高級そば屋くらいしか使わない1等も使用している」そうだ。かくしてうどん1杯の値段の8~9%が昆布の仕入れ代。知ってしまうと、おめおめスープ(つゆ)を残せない。

飲食店にとって味は企業秘密のはず。畑中社長が詳しく語ってくれたのは、他社と差別化できているだしは、まねができないだろうという自信からだ。「創業から麺で差をつけ、地力が出てお客さんがたくさん来てくれるようになった。だからだしにお金をかけられる。今からうちと同じことをしてももうからない」。

◆3千万円も…

全店のスープは、加布里本店の奥にある「スープ小屋」で作られる。スープ専門のスタッフが、長さ3㍍はある金属製の釜に昆布を浸け置く。3時間ほど炊き、一番だしだけを取る。昆布を引き揚げるとかつお節類を惜しげもなく投入。土日は3台の釜で1日に2回ずつ炊く。

牧のうどんといえば、麺が吸ってしまうスープの継ぎ足しができるミニやかんが有名だ。創業当初はなかった。お客さんの要望に応じ、ついで回る従業員の負担軽減のために導入。だが、魔法瓶に入れて持ち帰る客が出てきたので中止に。22~23年ほど前に再開した。お客さんがどんぶりに入れて飲み残す量は、ばかにできない。「年間3千万円の経費負担増ですよ」と畑中社長は少し渋い表情だ。

一番人気のごぼう天うどん(410円)。40円分ほどは昆布代という

◆社内旅行、子も負担

厚生労働省がまとめた2017年の雇用動向調査によると、離職率は宿泊業・飲食サービス業が最も高く30・0%。牧のうどんは14・8%という。

「業界としては低い。給与と福利厚生のおかげかも」と話す畑中社長。「飲食業界は連休が取れず、旅行にも行けないから」と毎年実施している社内旅行は、1年おきに海外へ。費用のほとんどは会社持ちだ。今年は北海道。5~7月に班に分かれ、計約250人が参加した。国内旅行の時は従業員の子の分も負担してもらえるため、50人は子どもだった。

うまくてコスパがいい→来店客増え売上増→味や麺の研究・改良→来店客増え売上増→従業員に利益還元→店内に活気。

好循環が続いている。

「中めん3杯!」。

きょうも牧のうどんに店員の元気な声が響く。

加布里本店の立体看板

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