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「九大伊都」完成 (下) 整う 変貌止まらぬ「大学のあるまち」

2018.09.20

■巨大なミカン山

 「もし、九大が元岡に来なかったら? 区画整理も道路の整備もなく、高齢者の目立つ街の一つになったかも」
 九州大の所在地・福岡市西区元岡校区に住む女性は、そんな見方をする。

 伊都キャンパス272㌶の大半は、元〝ミカン山〟だ。造成前、生産の勢いはなえて山は荒れていた。開発前の土地の痕跡は、九大の情報発信拠点「ビッグオレンジ」の名称に残る。

 元岡、桑原両地区への九大移転が決定したのは1991年秋。2年後にキャンパスエリアが確定。以降、再開発は猛スピードで進み、元岡校区を含む一帯の様相は一気に変貌した。

■「玄関口」は元田んぼ山

 西都校区が象徴的。

 糸島半島の中ほどに広がる伊都キャンパスと、天神など福岡市中心部の結節点の役割を果たすJR九大学研都市駅は、同キャンパス誕生(2005年10月1日)の8日前に開業。九大の玄関口となった。7カ月後、駅に接するイオン福岡伊都ショッピングセンター(現・イオンモール福岡伊都)がオープン。

 これらは、区域面積約130㌶(福岡ヤフオクドーム18個分)の伊都土地区画整理事業(1997年~2020年度)の中でデザインされた。西警察署や市西部地域交流センター・さいとぴあが、まちの安全や快適性を高めた。現在、高層マンションが建ち並ぶ同校区の街並みを眺め、見渡す限り稲穂が垂れていた初秋の光景を想像するのは、至難の業だ。

 まちの〝やり直し〟は、郊外型住宅ゾーンの田尻土地区画整理事業(約40㌶)、研究開発施設や学生アパートを擁する元岡土地区画整理事業(約16㌶)も続いた。

■人口増、見通し甘く

 一帯の再開発事情を熟知する同市の関係者は語る。「ポイントは、新駅開設と都心までの利便性、西に広がる糸島地域の自然環境のよさ」。よく言えば都会的、悪く言えば人工的なまちは、九大移転と歩調を合わせながら人を吸い寄せ、膨れ上がってきた。

 伊都土地区画整理事業開始当初の今宿、元岡、周船寺、玄洋の各校区の人口は計約3万7千人。今年6月末は、新設の西都校区を含み計約5万9千人。子育て世代を中心に2万2千人も増加した。

 17年4月に開校した西都小の児童が急増し、教室不足に陥る問題点が、1年とたたずに浮上。市教委は同小を分割し、新設校の23年開校を目指す。

 「見通しが甘かったのに西都小を造った段階で失敗」(同市議)など批判を浴びながらも、市教委は駆け回る。

■渋滞と安全に懸念

 九大と国道202号バイパスをつなぐ都市計画道路「学園通線」(片側2車線、全長5060㍍)が今年4月、全線開通した。元岡小東交差点の17年度の交通量は、道路整備5年目の1・2倍に増えた。国道202号と交わる北原西交差点は通勤・通学時間帯、激しく渋滞する。

 元岡に住む70代男性は、交通面の安全を不安視する。「生活道路に九大生のバイクが走り込み、無灯火の自転車も増えた。キャンパス人口が10月から6千人増えるが、大丈夫だろうか」。

 統合移転の完了を受けるかのように、今月末から北原・田尻土地区画整理事業(11・8㌶)が動き出す。ツインのタワーマンション建設を目玉として、学園通線沿いに住宅、商業施設などが整備される見通しだ。

 この20年あまり変身し続けた「九大のある町」は、九大という高密度の〝エネルギー源〟に引き寄せられながら、これからも変貌を続ける。

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