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「うどんだけでおなかいっぱいに」 釜揚げ牧のうどん(糸島市神在)・上 シリーズ~糸島のすごい企業

2018.08.30

ゆでたて麺をバケットからどんぶりに盛るスタッフ=加布里本店

常にゆで続け

午後5時前の加布里本店。客はまばらで注文は途絶えていたが、たぎる湯の中でバケット(金属かご)七つのうち五つに、たっぷりのうどん麺が浸かっていた。「うちの中めんのゆで時間は30分、軟(やわ)めんは45分。お客さんの入りを読み、常にゆで続けている」と中山雅文店長(50)。

畑中俊弘社長(56)の祖父夘右ヱ門さんが戦後間もなく、農家の穀物を水車でひいて粉にする商売を始め、手数料としてもらった粉でうどんを作り、畑中製麺所を立ち上げたという。

本社横の本家企業、畑中製麺所で麺の基を「菊もみ」するスタッフたち

畑中社長は、牧のうどん創業者で父の立木(たつき)さん=2009年死去=について、「父は、ゆで時間を変えてできる硬めん、中めん、軟めんともゆでたてがおいしいと知り、うどん屋を開けば当たると思っていた。それに反対する祖父と父が口論する場面を、子ども時分に見た」と振り返る。

讃岐うどんのゆで時間は7~15分とされるが、似た感じの麺を福岡でなじむ柔らかさにするには半時間以上かかる。立木さんは、夘右ヱ門さんの下で働きながらうどん研究を重ねたのだろう。

開店は1973年11月。かくして、「糸島のソウルフード」が誕生した。

消えた〝ロス〟

30分、45分先に入店する客数の読みが、ぴたりと当たり続けるはずはない。ゆでたて麺の〝ロス〟はどうしても生じる。

余ったうどんは水で冷やし、お持ち帰り用うどんに。うどん店開業を機に製麺業はやめたが、以前の取引先の一部に安く販売することもあった。

柔らかくなった麺の表面を少し削って洗ったり、1玉の価格設定や売り方を工夫したり。「〝ロス〟軽減の努力を怠らなかったおかげで、今では店頭だけで麺が売り切れるようになった」(畑中社長)そうだ。

ラーメンから移る?

牧のうどんの中めんの重さは約500㌘。一般的なうどん店が200~250㌘だから2人前に相当する。

畑中社長は「うちのいいところは、うどんだけでおなかいっぱいになること」と胸を張る。一番人気のごぼう天うどんは410円。

現在の「福岡うどんブーム」の一翼を担う牧のうどん。畑中社長は指摘する。「かつて庶民の財布に優しかったラーメンは、いま600円する。替え玉追加で700円。25年前はごぼう天うどんとほぼ同じ値段だったのに。ラーメンを日常的に食べていた人がうどんに移ったせいもある」。

畑中社長は2010年に就任。翌11年は東日本大震災の影響で売り上げは落ちた。だが12年以降、7年連続でお客さんが増えているという。全18店平均で1日の客数は500人。毎日出るうどんは全店計で1万食。

実はその快進撃の陰に、畑中社長のだしへの挑戦があったことは、あまり知られていない。

 

創業=1973年

従業員=アルバイトとグループ企業を含め300人

資本金=500万円

売上高=非公表

URL=https://www.makinoudon.jp/

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