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「点訳冊子」届け24年 サークル「かえで」16日で活動に幕

2019.03.7

会員と点字プリンターから出力され点訳された糸島新聞の記事(中央)、後列が木村さん

 糸島新聞から選んだ記事を点字に訳してまとめた「点訳冊子」を2週間ごとに制作し、糸島市内の視覚障害者に届けるボランティアを24年間続けてきた「点訳サークル・かえで」(木村ヨシエ代表、4人)が、今月16日の発行を最後に、活動に終止符を打つ。

 活動停止の理由は、視覚障害者を取り巻くサービスの充実とそれに伴う読者の減少、サークルメンバーの高齢化。愛読者は四半世紀を超す発行にただ感謝する。

 今月2日、活動拠点の市健康福祉センターあごらに集まった4人は、パソコン入力した記事を手分けして校正。点字プリンターから出力された凹凸のある用紙を、慣れた手つきで製本し、1時間で3部制作した。

「糸島新聞を楽しみにしてきた」と点訳冊子を読む小川さん

 活動開始は1996年。94年にあごらができた後、点訳講習会を受けた市民が点訳ボランティアを始めると、糸島鍼灸(しんきゅう)師会が「糸島新聞を点訳してほしい」と依頼。会員は制作日までに記事を読み込み、季節の話題や糸島の出来事、伝統や風習などを選び、読みに注意しながらパソコンで入力。新聞2週分をB5サイズ10㌻にまとめる。

 発足から10年以上は「手書き」だった。会員各自が点字板に用紙を設定し、点筆で書いて点字を作成。最後の1文字を間違い最初から作り直すことも。2007年に西日本新聞エリアグループ(販売店)都市圏西から、同社の創刊130周年記念として点字パソコンと点字プリンターの寄贈を受けると、作業スピードがアップ。小学生向けの童話や伝統など年間5、6冊の点字図書を図書館へ寄贈したり、子どもたちに点訳を教えたりもしてきた。寄贈図書は50冊を超えた。

 97年から代表を務める木村代表(74)は「当時は会員20人。活気があり、点訳冊子を待つ方が10人以上いた」と振り返る。だが、音声パソコンの普及や見やすい拡大鏡の登場など、サービスが充実し、視覚障害者は、点字をわざわざ覚える必要がなくなり、おのずと点訳冊子の読者も減った。

 メンバーも年を取った。「点訳作業は集中力が要る。私たちも70歳を過ぎ『見落としはないか』と不安も出るように。正確な点訳ができるうちに活動を終えようと決心した」(木村代表)。

 現在3人の読者の1人でサークル発足時からの愛読者の鍼灸師、小川清さん(79)=同市前原駅南=は「指先を当てれば字が読める。視力を使わなくてよいので助かる。(点訳冊子を)読むことで世間のことが分かり、患者さんと雑談の材料にもなり、楽しみにしてきた」と感謝を込めて語った。

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