糸島のSDGs再発見/農業、森林保全取材 探検隊が発表会

 糸島市の小学生らが、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む人たちを取材し動画にまとめて発信する「いとしまSDGs再発見プロジェクト事業」の成果発表会が1月28日、同市の前原南コミュニティセンターで開かれた。探検隊は自然豊かな糸島で、人々が日々の営みで実践しているSDGsを掘り起こし、現場で学び取ったことを披露した。動画は近く動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開しSDGs推進の機運を高める。

 探検隊は、小学生と高校生、大学生による5~6人の2チームを編成。「農業」と「森林保全」の二つのテーマで10~11月、現場を訪ね、動画の撮影をしながら取材を重ねた。自分たちの手で編集を行い、農業について約10分、森林保全については約16分の動画にまとめた。

探検隊が取材し、編集した動画の発表会
探検隊が取材し、編集した動画の発表会


 「農業」チームが取材したのは①カキ殻をリサイクルした石灰肥料などの商品開発に携わるJA糸島の古藤俊二さん②300年近く受け継がれてきた伝統野菜の芥屋かぶを未来へ残す活動をしている東紀子さん。

 古藤さんは、糸島名物の焼きガキ小屋から出てくる大量のカキ殻をごみとして焼却処分するのではなく、石灰肥料に加工し農地で使うことで地域資源を循環させている状況を説明した。芥屋かぶは芥屋地区の特産物ながら、栽培農家が減少。品種を維持するには、毎年種を採り続けなければならず、人の手が必要。東さんは若い世代に、芥屋かぶに関心を持ってもらえるようスムージーなど、おいしい食べ方を研究していることを伝えた。

 農業チームのリーダー、奈須慈央さん(九州大1年)は「カキ殻のリサイクルはほかのゴミと分別してもらうといった多くの人の協力がないとできない。伝統野菜は地域の人の熱意があって守っていける。一人一人がSDGsとかかわることで、社会の大きな動きになると感じた」と話していた。

 「森林保全」チームは①体験型観光農園「白糸の森」で、人工林では間伐が欠かせないことを広める活動している大串幸男さんと前田和子さん②間伐した木材を床材として使い古民家をリノベーションしている学生サークル「ENGAWA Project(プロジェクト)」の松本崇人さんたち③間伐作業を行い、木工品づくりをしている木工作家で林業を営む薦田雄一さんーを取材した。

 大串さんと前田さんは、森に降った雨水が何年も貯水されてから、海へと流れ出して養分になっていることを語り、古民家のリノベーションの現場では、松本さんが間伐材を長く活用していく意義を話した。薦田さんは探検隊と人工林に入り、間伐作業を実際に見てもらい、間伐をしないと森が荒れ放題になることを訴えかけた。

 「森林保全」チームのリーダー、福留健志さん(九州大4年)は「森が暮らしに密接にかかわっていることを知った。普段の生活の中で環境への負担が少ないものを買い求めるとか、自然の保全活動とか、いろんなかかわり方があると思う。これからも無理なく楽しみながらSDGsに取り組んでいきたい」と話していた。

 発表会には、プロジェクトを実施した同市の関係者や、探検隊が取材した人たち、一般市民など約80人が参加。月形祐二市長は「SDGsは気づくことから始まる。現状を受け止め、どうかかわっていくべきなのか。一人一人の力でも変えていけると発表の中で言ってもらえ、うれしく思う」と感想を述べた。

    
 「いとしまSDGs再発見プロジェクト事業」は、テレビ西日本と西日本新聞社、糸島新聞社が糸島市と事業連携協定を締結。テレビ特別番組(12日午後2時半、テレビ西日本)と新聞特集記事掲載(9日・西日本新聞朝刊、10日・糸島新聞)に当たり、西日本シティ銀行、Good不動産、ガルヒ就労支援サービス、アスミオ.の協賛をいただきました。

「農業」と「森林保全」をテーマに活動した探検隊のメンバー
「農業」と「森林保全」をテーマに活動した探検隊のメンバー
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この記事を書いた人

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