【ドクター古藤の園芸塾】 13
さあ、春に向けての野菜栽培が本格化します。2月19日は農業暦「雨水」。冷たい雪が暖かい春の雨に代わり、大地に潤いを与える頃とされます。まさに、春ニンジン、ゴボウ、バレイショ種の植え付けベストシーズン。種まき後、ニンジン、ゴボウはおおむね110日、バレイショは90日で収穫を迎えます。
おいしくて、品質のよい収穫を目指すには、いくつかこつがあります。
まずはニンジン。
▽発芽力があり、春に花が咲く(とう立ち)危険性が低い「時なし」品種を必ず選ぶ。
▽発芽させることが、成功の道筋なので、まき床がデコボコしていないこと。また、種まき後、不織布で地表面を覆い発芽促進する。
▽光を感じて発芽する好光性種子なので、深く種をまいてしまうと発芽しない。
▽収穫後の芯が小さいほど、おいしいニンジンです。肥料を入れ過ぎないようにすること。
次にゴボウ。
▽ゴボウの種は硬い殻で覆われ、発芽しにくいので、500ミリリットルの乾いた空ペットボトルを用意し、種を入れ、何度もシェイクしたのをまくことで、種の表面が傷つき発芽が促進される。
▽根が変形するセンチュウ類被害に弱いので、連作をしないこと。
▽収穫しやすい根の長さが30センチ前後で掘りやすく、サラダ料理にも使える早太り品種がおすすめです。
バレイショ。
▽肌に黒あざが発生する「そうか病」はアルカリ土壌を好むので、石灰肥料は使わない。
▽種イモを2週間ほど明るい室内で日光に当てると、旺盛で病害に強い生育となる。
▽肥料を入れ過ぎると茎葉ばかりが繁り、バレイショが太らなくなり、裂開(割れ)の原因になる。
以上が、代表的なうまく育てるこつとなります。また、共通している点は、根の肥大、正確にはバレイショは茎肥大が重要な野菜ですから、ともにカリウム成分を特に好みます。よって、通常の基肥に加え、ゆっくり溶け出すケイ酸カリを100グラム/坪目安に加えると、色、艶、肥大など生育に好影響を与えてくれます。
この後は4月にかけて、随時、春ダイコン、サトイモ、ショウガ、ヤマノイモ、コンニャクと根菜類中心の植え付けが続きます。
根物野菜の栄養価は、基礎体温を上げてくれる機能が評価されています。現代はさまざまな要因で低体温化体質となり、比例して免疫力も低下していると言われています。まさにニンジンをはじめ、根物野菜栽培がスタートしており、ぜひ免疫力強化という観点から種をまいてみてください。種をまかないと、何事も進みませんね。
しかし、生育中に太らないなど、何かおかしいなと感じられましたら、遠慮なくご相談ください。持参された画像による状況確認や問診など行い、的確な栽培方法などアドバイスをさせていただきます。
本シリーズ「園芸塾」の主題は、園芸を通じての住みよい環境と健康づくりです。元気な生活を目指して、ともに進んでいきましょう。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2023年2月17日