自分で火を起こせた 体験から学ぶこと

 県内の社会教育施設が派遣する「ふくおか体験活動出前隊」を利用し、糸島市の深江小(重冨紀子校長)5年生59人が14日、火起こしと簡単調理体験、友達と関わる人間関係作りレクリエーションを小学校の校庭と体育館で体験した。コロナ下で体験活動の中止が相次ぐ中、「体験的学びを積極的に取り入れ、成功体験を積み重ねたい」と実施。

 福岡県立社会教育総合センターのスタッフが火起こし用の道具などを持参。子どもたちは燃えやすそうな枯葉や杉の葉、小枝を校庭に隣接する山から採取して準備した。

 短く切った麻ひもをほぐし綿のようにしたものをアルミの使い捨て皿に入れ、金属棒と板を打ち付けて火花を散らす。麻ひもに点火したら、拾ってきた小枝などに火を移し、育てていく。「あきらめるな!」「人間風よけになるよ」と励まし、協力しながら、無事火が起こったところもあれば、なかなか点かないところも。「前日からワクワクして目を輝かせていた」という子ども達を担任の星田勇作先生(25)はみつめながら、「普段あまり関わりのない子たちも一緒になってやっていますね。自分から手伝いに動き回ったり、思いがけない子が上手だったりして、ほっておいても子ども同士の関係ができていっています」としながら、「算数や国語では見られない目の輝きです…」とつぶやいた。

火花が散るもののなかなか着火に至らずだが、諦めず挑戦
火花が散るもののなかなか着火に至らずだが、諦めず挑戦

 自分たちで起こした火は、あらかじめ用意しておいたソーセージ入りロールパンをアルミ箔で包んだものを詰めた牛乳パックに着火させた。牛乳パックが全て焼けたらホットドッグの出来上がり。「まるこげ!」の悲鳴も上がるが、焦げでもなんでも格別の味。「こんなん授業中にやれるん幸せー」と入江眞七葵(まなと)くん(11)はため息をつきながら頬張った。「ベテラン、ベテラン」とあちこちの班にひっぱりだこなのは三丸愛絆さん(11)。「何が違うのかよく分からないけど…」と言いながらも力強く金属棒をこすりあざやかに着火すると、「15分かかってやっとだったのに」と取り囲む子どもたちから称賛の声。「麻ひもまでは着火したけれど大きく育てられなかった」という班は、終了間際まで粘り、最後の最後に成功し、「やったー」と歓声とハイタッチした。

自分たちで火起こしして焼いたホットドッグの味は格別
自分たちで火起こしして焼いたホットドッグの味は格別

 深江小では本年度に入り、コロナで中止になっていた体験活動への取り組みに力を入れる。3年生は「姿を変える大豆」の授業に合わせ、地元の大豆畑を見学、栄養教諭による豆腐作り実習をして出来立ての豆腐を味わったり、地域の醤油蔵を見学に行ったり。6年生はプロゴルファーを呼んでのゴルフ体験も。「その道のプロは、競技の楽しさだけではなく、競技を通して子どもたちに伝えたいことがあると知りました」野村美穂教頭も共に目を輝かせる。

 「コロナ下で体験施設へ来ることもできず、運動会などの行事も中止になっている子どもたちのために、令和2年から出前講座を始めた」と同センター職員高瀬博さん。「火起こしや仲間づくりレクが人気で、こちらから簡易かまどを持参してのカレー作り体験も人気がある。子ども会や学校で是非活用してほしい」と話した。

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