《糸島新聞連載コラム まち角》

まち角アイキャッチ

 「モッテコーイ」。長崎くんちの演(だ)し物に、観衆が威勢よく発するアンコールの掛け声。長崎市中心街で、長ラッパの音色が高鳴る中、威勢よく舞われた龍踊(じゃおどり)に、この掛け声が沸き起こったとき、懐かしさに胸が熱くなった▼今月初旬に訪れた長崎ランタンフェスティバルでの光景。3年前もこのイベントに足を運んだが、マスクをする人はまだ少なかった。日本人初の新型コロナ感染者が確認されたばかりで、横浜港に停泊したクルーズ船で集団感染が発生する直前だった▼あの頃、コロナは「未知のウイルス」という不安がありはしたが、外国語が飛び交う群衆の中で、マスクをせず、何時間も無防備なまま街歩きをしてしまう程度の受け止め方だった。だが、それから1カ月半後、世界保健機関が「パンデミック(世界的大流行)」を表明する事態となった▼コロナの流行が始まって4年目に入り、日常生活に浸透してきた感染対策が大幅に緩和される。政府が3月13日から、屋内外を問わずコロナ対策のマスク着用を個人の判断に委ねる新指針を発表した▼学校の卒業式については「児童生徒らはマスクを着用せずに出席することを基本とする」としている。これには児童生徒の間で賛否が分かれる。「最後のときはお互いの顔を見て」という声の一方、「素顔を知られるのが怖い」とも。ただ、見た目にもまして不安なのが、マスクに隠れていた表情をあらわにすることだろう。目だけで済ませてきた感情表現を顔全体ですることになる。学校でも、家庭でもコミュニケーションの取り方をしっかりと教えてあげてほしい。

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