【ドクター古藤の園芸塾】 17
「りっぱなトウモロコシがなったけん、さあさあ収穫しよ~と思ったら、な~んのよかろう、カラスのやつが食べてしもうた」「あたしゃ、アナグマかハクビシンかわからんばってん、一晩で食われてしも~た」「食べごろば、よ~知っとる」
近年の大きな農業問題となっているのが、カラスやヒヨドリ、カモなどによる鳥害、イノシシやサル、アナグマなどによる獣害。そして土の中にはモグラがいます。減るどころかどんどんその被害も大きくなり、いまや離島含め全国的な問題になっています。
確かに、中山間の荒廃、耕作放棄地拡大など、里山から人が遠のいたことで、農畜産物などエサを求めて侵入してくる鳥獣が増えているのでしょう。多様で豊富な農産物が栽培されている糸島地域の生産者の方もこの問題には頭を抱えており、まさに動物との知恵比べです。
そこで現在、私の実験による忌避対策方法をご紹介いたします。100%確実とはいえませんが、一定の効果は発揮しているようです。
▽カラス カラスは相当な知能犯であり、度胸のあるツワモノです。観察力も高く、じっと高いところから人の動きを見ています。対策として黒のテグスは有効ですね。黒の糸みたいなものですが、張ると周りの風景と同化し、人の目では糸は見えません。そこをカラスは、しっかり見ているので、羽がひっかかると思い、近づきはしません。効果アリです。
カラス以外の鳥は、タカの姿と同じようなカイト(たこ)を飛ばしておくと、他の鳥たちは近づきたがりません。
▽イノシシ イノシシの一般的な侵入防除は、入れないよう完全に周囲に鉄柵を張りめぐらすか、通電した線を張り巡らす電気柵が効果高く、利用が多い方法です。
もっと簡単に対策する方法もあります。一つ目は、人気のない菜園でしたら、携帯ラジオを夜中も鳴らしておく。声の気配を感じ、なかなか寄ってきません。二つ目は菜園の外回りに支柱を立て、赤と青色のテープを上段が青、下段が赤と二段で周囲に張っておくと、イノシシは近づくのを敬遠します。安価で簡単にできます。
▽モグラ モグラは、風で揺らぐ柔らかい1・5メートル前後の支柱の先端に風鈴をつけ、モグラ塚などに支柱を立てておくと、微小な振動と鈴の音で、危険性を感じ取り、近づきません。
その他、現段階では、知恵の多いサルやエサに貪欲なアナグマなどは、なかなか対策が難しい動物です。生態を研究した上での対策が早期に求められています。私も日々、アイデアを考えては実験を繰り返し、どうにかして大切な農産物を守りたいと思います。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2023年3月24日