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湯溜池の水利権問題 昭和27年8月
JR九大学研都市駅西側にある湯溜池は、新設学校用地となり、現在埋め立て工事などが進められている。その湯溜池だが戦後の一時期、周船寺村と元岡村の間で農業用水利権をめぐって対立が続いていたことがある。
湯溜池は周船寺村内にあるものの江戸時代から水利権は元岡村にあった。ところが戦時中、同溜池の灌漑区域の大部分が軍部の強制収用により、海軍航空隊の演習地となった。そのため同溜池は不要となり、元岡村は軍指定の企業の要請で譲渡した。
終戦後、演習地などは返還されたが農業復興のためには湯溜池がどうしても必要であるため、元岡村民は企業に返還を求め、同溜池を浚渫(しゅんせつ)などして元のように農業用として利用しようとしたが難航、いつの間にか同溜池は周船寺村の所有となった。
それで、長い間元岡村と周船寺村の間で話し合いが行われ、同溜池を拡張して水量を増やし、周船寺元岡両村で「水利組合」を作って活用することになったが、戦後の財政難もあって解決までには長い時間がかかった。