コラム まち角

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 国連の2022年版の人口推計によると、世界人口はこの年、80億人に達し、国別ではインドが23年に中国を抜き、世界で最も人口が多くなると予測している。昨年末時点で、中国の人口が14億1200万人、インドは14億1700万人と、すでにインドが中国を上回ったとの報道がある▼この人口を合わせると、28億2900万人となり、なんと、2国で世界人口の三分の一以上を占めていることになる。インドと中国の人口が多い理由として挙げられるのが世界屈指の米の生産地であることだ▼水田での稲作は、水が張られているため、過剰な養分や有害な成分を土の中から流しだす効力があり、連作障害が起きにくいとされる。安定的に供給できる米が広い国土で栽培されることで、多くの人口を支えることを可能にした▼40年前の学生時代、インドを旅したことがある。コルカタの街はどの通りも、込み合う駅構内のように人々であふれていた。人ごみを避け、芝生の広場で休んでいると、警察官が話し掛けてきた。「日本人か、人口は何人だ」。当時の日本は1億2千万人に達したばかり。それを答えると、警察官は慣れた口調で「小さいな。インドは7億5千万人だぞ」▼日本の人口がそれから伸び悩んだ末、減少に転じる中、インドは7億人近くも増えた。ただ、人口増に伴い、インドは生活用水をはじめ、危機的な水不足に陥っている。農作物の需要増で、地下水は過剰取水の状態という。日本とは別次元の人口動態がもたらす深刻な課題。海外の現実はSDGs推進の重要さをより強烈に伝える。

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