コラム まち角

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 星影でにぎやかな夏の夜空を楽しめる時期が始まる。街の明かりに邪魔されない田んぼの道を抜けるとき、車を停めて、よく仰ぎ見るのが「夏の大三角形」。白鳥座のデネブと、こと座のベガ、わし座のアルタイルという三つの明るい星が描く二等辺三角形だ。その中を天の川が流れている▼三つの星座には、ギリシャ神話の物語が残されている。いずれも、最高神であるゼウスにまつわるものだ。白鳥座の白鳥はゼウスが化けた姿。スパルタ王妃レーダーに恋したゼウスは白鳥の姿で接近し、レーダーを誘惑する。こと座は、死んだ妻を冥界から連れ戻すのに失敗し、川に身投げした音楽家の琴をゼウスが拾い上げて星座にした▼わし座には、美少年のトロイアの王子を天に連れ去るために、ゼウスがワシを遣わしたとの神話がある。ゼウスは全知全能の神でありながら、何とも人間味をたっぷりと感じさせる▼三つの星座から天の川を南へたどっていくと、夏を代表するもう一つの星座、さそり座がS字を描く。この星座のサソリは、暴れ者の狩人オリオンを毒で殺したとの神話がある。このため、冬の星座のオリオン座は、さそり座が東の空から昇ってくると、そそくさと西に沈んでいくのだそうだ▼それにしても、一つ一つの点でしかない星々をつなぎ、壮大なストーリーに紡ぎ上げていく古の人々の想像力には感服する。もちろん、現代人も夜空をキャンバスに、いろんなイメージを膨らませることができる。無数の星々を自由に線で結んでつくる何ともぜいたくな物語。夢にあふれた星空を想像してみませんか。

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1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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