糸島市志摩芥屋で300年近く受け継がれてきた伝統野菜「芥屋かぶ」を研究している糸島農業高の生徒と、芥屋かぶを守り続けている伝承者の東紀子さんら地元の人たちとの交流会が24日、芥屋区公民館で開かれた。生徒たちは、形質の良い芥屋かぶづくりに適した土壌の成分についてなど、本年度取り組んだ研究成果を発表し、地元の人たちと意見を交わした。
同高では、生徒たちが「芥屋カ部」の名称で授業の一環として、芥屋かぶの伝統をつないでいくための活動をしている。本年度は農業技術科3年生が取り組み、この日の交流会では来年度から芥屋カ部を引き継ぐ動植物活用科1年生の3人が研究成果を報告した。
本年度の研究は①芥屋でしか育たない秘密を探ろう②子どもたちに伝統をつなごう③魅力発見―の三つ。①では、昨年度、同高農園で実施した、海藻を活用した栽培方法で、芥屋かぶの形や大きさにばらつきが出たり、芥屋かぶの特徴である赤紫の色づきが良くなかったりしたため、芥屋と同高の農園の違いを調べようと、市内の企業に協力してもらい、土壌分析を実施。この結果、同高農園では酸性土壌を中和させるためにまいた石灰の蓄積により栄養分の吸収が阻害されているかもしれない状況などが分かってきた。
②については、引津小2年生と、播種や収穫を一緒にした交流の様子を発表。③では、酢を使うとピンク色になる芥屋かぶの魅力を生かした食べ方の提案として、ピクルスやドレッシングづくりなどに挑戦。鮮やかに発色させるための課題を報告した。
発表した木下頼篤さんは「芥屋かぶを大切な地域資源として生かし、存在を多くの人たちに広めていく研究に取り組みたい」、東さんは「形、色が良いものを作りたいという生徒の思いがかなうよう、協力していきたい」と、活動の連携に意欲的。芥屋区の中村進区長は「高校生の活動は、芥屋かぶを頑張って引き継いでいこうという地域の意識づくりにつながっている」と話していた。