【ドクター古藤の園芸塾】 18
春の陽気が気持ちいい時期となりました。桜やチューリップなどの春花が元気にしてくれますし、ドライブや山登り、魚釣りにキャンプなど行楽にはもってこいの季節。一方、家庭菜園を楽しむ方も増え、トマトやナス、オクラなどはプランターでも育てられるので大人気。うまく育てるのに、肥料や水の与え方など多くの要素がありますが、最初に肝心なのが「苗の選び方」。
「いっぱいあって、どんか苗がよかといか」「やっぱあ、太かとがよかっちゃろ~もん」。苗売場はいろんな言葉が飛び交い、老若男女で大変にぎわいます。そこで、人気野菜の苗の選び方をご紹介いたします。
【トマト】 ギザギザの本葉が7枚以上あり、先端に花かつぼみが付いている苗を植えます。万が一、本葉が3枚程度しかない若い苗を植えてしまうと、肥料を貪欲に吸収し、茎葉は立派に繁りますが、実付きが悪くなってしまいます。
【ナス】 ナスの初期生育は非常に緩慢で、定植してもなかなか太らず、冷たい風などが当たると萎縮してしまいます。通常直径9センチのポリポットで苗を販売していますが、菜園に植える前、直径15センチの大きいポットに移植し、苗を大きく育て、必ず一つ花が咲いてから植えてください。花が着いてない苗を植えてしまうと、硬いナスの実になってします。
【ピーマン】 ナス同様、一番花の咲き始め頃が菜園に植えるのに最適で、葉が大きい苗が理想です。
【ウリ科:キュウリやメロン、カボチャなど】 根の再生力が弱く、本葉が3枚未満の若い苗を定植するのが基本。本葉が6枚以上になっている苗は根が老化しており、定植後の活着が悪くなります。若い苗で初期生育を勢いよくさせることがこつです。
【オクラ】 オクラは4月に定植したり、ジャブジャブ水をかけたりすると、次第に苗が消滅していきます。暖かくなった5月連休を目安に定植し、定植後の水やりを控え、根の伸長を見守ってください。
販売店で一般的に扱われている春夏野菜の苗、すべてに言えることですが、苗を育てている期間は、暖房機を使った温かいビニールハウスの中で、夜も20℃前後の一定温度の中で、大切に育てています。苗を購入して、いきなり菜園に植えてしまうと、低い夜温、冷たい強風や雨などの自然ストレスが苗に負担を強く与えます。
よって、購入した苗は、自宅の車庫や冷たい雨風が当たらないところで、1週間ほど外気に慣れさせる順化を行って定植してください。順化をせず、早く定植し初期生育にストレスを与えてしまった苗は、順化した苗や気温が高くなって定植した苗と比べ、太りが劣ってしまいます。
良質な苗を選び、順化し、定植時の気候を考慮し、菜園に定植することが、元気な野菜作りのスタートとなります。ご家族みんなで、たくさんの野菜を収穫してくださいね。応援いたします。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2023年3月31日