【声の野鳥だより】17

沢沿いでまれに出合い/ヤマドリ

野鳥愛好家の國友靖彦さん撮影

 キジ目キジ科で、体長は雄125センチ、雌55センチ。ヤマドリの雄の尾羽はキジよりも長くて美しい模様で彩られています。ヤマドリはその名の通り、人里から遠く離れた山の中の、おもに落葉広葉樹林の多い沢沿いを好んで暮らしていることが多い野鳥です。


 糸島地方では可也山や南部の雷山・井原山などの中腹で見ることがありますが、極めてまれになってしまいました。人と遭遇したときにはキジよりもずっと素早く林の奥に隠れてしまいます。


 鳴き声ですが、市販の多くの音源では「ド、ド、ドドド」という、翼を羽ばたき体の側面を打つ羽音「ほろ打ち」の音だけが紹介されている例が多いのですが、私はかつて背振山系の海抜500メートル辺りの登山道で、雌にアピール中の雄の「ココココ…」という鶏の雌のような声を聞いたことがあります。


 食性はキジと似て、おもに植物質のものをとっているとされますが、キジよりも深い山で生活しているので、爬虫(はちゅう)類やネズミなどの動物質のものも食べていることが想像されます。


 私が経験したもう一つのヤマドリとの出合いは、太陽が傾いた午後遅くに雷山の中腹あたりの少し開けた林で夕日を浴びた雄と雌。その美しかったこと、今思い出してもため息が出ます。針葉樹の植林は山を豊かにしません。ヤマドリが好んですむような山の環境を増やしたいものです。


 (野鳥録音家)

ヤマドリの鳴き声


 (野鳥録音家・田中良介)

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この記事を書いた人

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