【声の野鳥だより】39

水辺の潜水上手の代表/カイツブリ

 カイツブリ目カイツブリ科で、体長26センチ。全国(北海道は夏のみ)の都会の公園から農耕地に点在する用水池、河川の中流域から下流域、湖までの淡水域に生息、繁殖します。

 カイツブリの名のもとは「搔(か)きつ潜りつ」するから転訛(てんか)したとも言われます。県の一部では「ケエツムグリ」と呼ばれ、それを略して単に「ケエツ」と呼ぶところもあるらしいです。

 基本的には池、沼のような止水域に生息して、同じ環境で繁殖します。名前のとおり採餌は水の中ばかりで、小魚やエビ、カニのほか水生昆虫なども食べるようです。

 ハトほどの大きさでクチバシは短く、尾はもっと短いので全体としてはずんぐりと丸いシルエットをしています。繁殖期にはオスが「キリキリキリキリ…」、または「ケレケレケレケレ…」と高い声でよく鳴きまず。また、この鳴き声の中に「ピンピン」という高い声が交じることがあります。

 可愛いのは生まれて間もない頃のヒナたちで、イノシシの子供のようなタテジマがありますが、親について泳いでいる時に、複数のヒナが親の背中に乗ったりします。そうしたしぐさはとても可愛いものです。

 近年開発などによって都会地の池が埋め立てで減少したり、水質の汚染が進んだりしてカイツブリは受難の時代の中にあります。人間が少し気をつけることによって、自然界の命が救われることをぜひ私たちは知るべきだと思います。 (野鳥録音家)

カイツブリの鳴き声

 (野鳥録音家・田中良介)

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この記事を書いた人

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