サトイモの栽培ポイント

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【ドクター古藤の園芸塾】 20

 秋に収穫の喜びを得られる野菜の一つが「サトイモ」。近年は生産者の高齢化にともない、出荷量が減少しているため、貴重な品目となっており、家庭菜園でも栽培していただきたい野菜です。
 サトイモ栽培は、子どもの育て方が各人各様であるように、サトイモの育て方もさまざまであってよいと思います。ただし、いくつかの栽培ポイントは、押さえておきましょう。

 ◆連作を嫌います。同一の菜園では3~5年周期で栽培しましょう
 ◆土壌・空気中ともに多湿を特に好みます。乾燥する土壌では、極めて生育が悪化します。
 ◆逆に過湿になると根の発育を害し、イモは長形になってしまいます。
 ◆土壌は選びませんが、粘土質土壌では、生育は遅くなりますが、良品質で、収量も多くなります。
 ◆新イモは種イモの上方につくので、土寄せが足りないと小型イモになってしまいます。

ふっくらとし全体がきれいな丸みを帯びている良い種イモ
芽が出ているが、変形し傷がある良くない種イモ


 次に種イモの準備。粘りが強いもの、たくさん収穫できる品種など多種あります。
 代表的な品種は、長卵型で収量が多く早く収穫できるタイプ「石川早生」。赤芽の丸形で、栽培しやすく粘質で食味が良い「赤芽大吉」などもお薦めです。


 種イモ量は、1個50グラム程度で、500グラム/坪(約10個)準備します。土作りに「糸島よか堆肥くん」7キロ、かき殻石灰「シーライム」と「けい酸カリ」をそれぞれ80グラム、基肥に「糸島有機やさい」500グラムを各1坪当たり目安に土とよく混ぜます。
 畝幅80センチ、高さ15センチの畝を作り、中央一条に30センチ株間で、深さ5~6センチで種イモを植え付けします。その後、黒マルチをかぶせ、マルチに芽が触れそうになったら、マルチを切り、芽を外に出してあげます。
 ここからは作業選択。マルチを収穫まで張ったままなのか、葉が大きくなったらマルチを取り除くのか。ここは皆様の選択。マルチを張ったままのメリットは「地面の乾燥防止」「雑草抑制」など。デメリットは「土寄せや追肥ができない」「収量が減る」など。
 逆にマルチを生育途中で取り除くメリットは「追肥や土寄せができ、収量や形がよくなる」。デメリットは「面倒」など。皆さんで、作業性を検討してみてください。

 病害虫の発生は、比較的少ないのですが、アブラムシは注意してください。もう一つ重要なのが、イモムシ「セスジスズメ」が一晩で葉を食い荒らし、茎だらけにしてしまうので、見つけたら捕殺してください。ハスモンヨトウのように大発生はしませんが、1匹の葉を食べる量は驚愕(きょうがく)の量です。

1.肥料などを混ぜた畝にサトイモ種を植付けし、黒マルチを張る
2.種植え付け後、黒マルチを張り、芽が動くと
マルチをカッターなどで切り、芽を出す
3.大きく育ったら、黒マルチを取り除き、追肥と土寄せを開始
4.親芋の上部にイモが着くので、土寄せは欠かせない


 6月上旬と7月上旬に追肥と土寄せをし、イモの肥大を促してください。9月中旬から収穫が楽しめます。あらかじめ地上部を刈り取り、株ごと掘り上げます。
 親イモにたくさんの子イモや孫イモがついていると、たった1個の種イモから、なんでこんなにイモがついているんだろうと、サトイモの生命パワーに驚かされます。


 秋の収穫物の一つ「サトイモ」。今年の中秋の名月に「収穫に感謝する」意味を込めて、食べてみませんか。ひときわ味わい深いものになるでしょう。


(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2023年4月14日

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この記事を書いた人

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