7月にオープン4周年を迎える「アナログクラフトチョコレート」。ベトナムの農園から仕入れたカカオ豆を使い、チョコレートを手作りする店としてテレビや情報誌などで度々紹介され、認知度はいまや全国区に。お土産でもらい美味しかったから、と自分で買いに来る人もいて、ファンの輪は広がり続けている。
オーナーは永冨憲治さん(46)。北九州市出身の永冨さんは母の実家が姪浜で、子どもの頃から糸島に遊びに来るなど縁があった。自然豊かな環境にあこがれがあり、思い切って糸島に出店。
小倉のフランス菓子店で、パティシエとして16年勤務。チョコレートの仕事は、温度や配合など繊細で難しく、「実は苦手でした」と永冨さんは笑う。
このままではいけないという思いが募り、勉強していく中出会ったのが、カカオ豆の焙煎(ばいせん)からすべてをお店で一貫して作る「BEAN to BAR(ビーントゥバー)」のチョコレート。カカオ本来の味が生きていて、永冨さんにとって衝撃的な味だった。
カカオの生産地にも興味を持ち、ベトナムの農園へ。今も印象に残るのは、お世話になったカカオ農家が話してくれた思いだ。「これ以上求めるものはない。これからも家族仲良く、仕事に誇りをもって生きていければ幸せ」
永冨さんは感銘を受け、感謝と恩返しの気持ちも込めて、今もその農園からカカオ豆を仕入れている。
チョコレートづくりに、手間は惜しまない。カカオニブとオーガニックシュガーを石臼の機械で挽(ひ)く作業には36時間前後かけ、まろやかで深みのある味を生む。
腕の見せどころは、テンパリング(温度調節)。繊細な温度管理により、チョコレートに含まれる油脂の結晶を整えることで、つやがあり口どけなめらかなチョコレートに仕上げる。
人気商品は「コインチョコ」。フルーティーな酸味の「ベトナム」、コクと深みがある「エルサルバドル」など、風味の違いが楽しめる5種を販売。一人で食べてもちょっとずつつまめ、職場や家族でもシェアしやすい。
ライチの蜂蜜にカカオ豆を合わせたカカオハニーや、糸島産の米粉を使ったフィナンシェも人気。糸島の食材とコラボした商品も企画中だ。
「お店を始めてからは、やりがいしかないです」という永冨さん。これからも、一つ一つ丁寧に作られたお菓子を糸島から届け続ける。
アナログクラフトチョコレート
住 所 :糸島市前原中央2-10-55
定休日:火曜
営業時間:正午~午後6時