【糸島】ドクター古藤の園芸塾Vol.39(9/8号掲載)

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秋冬野菜ご相談ベスト3

 近年のこの時期、日中も真夏並みの暑さにはなっていましたが、朝晩の涼しさは感じることができました。ところが、今年は一日中暑く、キャベツやブロッコリーなどの苗の定植をしたり、ダイコンやホウレンソウなどの種をまいたりしなければいけないのに、暑すぎて、なかなか進みません。


 「古藤さん、あつーして、あつーして、畑仕事がなーんもできまっせんばい」「古藤さんが、ニンジンの種ば、はよまきなっせっていいんしゃったけん、まいたばってん、ちょろーっとしか芽がでらんやったですばい」。確かに、ニンジンはおすすめして申し訳なかったと反省しております。高温で地温が下がらず、発芽率が低下したのが要因でしょう。


 そこで、日ごろ、秋冬野菜栽培について、たくさんのご相談をお受けしますが、その中でベスト3を紹介いたします。


 【1】袋に入っている種の数と、どの位の面積にまけるのかー。

店頭で販売している野菜種の容量は、一部の品種を除いて、ほとんどミリリットル表示です。どの位の種が入っているのか、見当もつきませんね。シュンギクみたいにたくさん種が入って案外価格が安いものがある一方、少量しか種は入っていないのに、価格が高いハクサイやダイコンの種もあります。「古藤さん、何粒入っとうとですな」との相談。そこで、代表的な野菜の1ミリリットル当たりの粒数を整理してみました。表をご覧になってください。参考になると思います。


 【2】今年みたいに暑い年は、バレイショやニンニクなどの種球は、いつ植え付けしたらいいのかー。

本来ならば、9月8日の農業暦「白露」の日を目安に植え付けると11月の安定した収穫が得られると言われています。植え付けが遅くなると生育期間が短くなり、イモが小ぶりになってしまうし、今年みたいに地温が高いのに無理に植え付けるとイモが腐敗しやすくなります


 そこで、表が真っ白で、裏面が黒の白黒マルチを畝に張ると地温上昇が抑制され、種イモを植え付けることができます。生育途中でマルチをはぎ、土寄せ、追肥を行うとよいでしょう。ニンニクやタマネギの球を植え付けるときも同様です。


 【3】とにかく、葉を食い荒らす害虫、どうにかなりませんかー。

秋冬野菜の栽培を難しくしているのが多様な害虫被害。土の中から、地上部といろんな角度から害虫が野菜を標的に危害を加えます。上部に害虫の飛来を防ごうと防虫ネットを張っていても、土の中から害虫が発生し、あっという間に葉がボロボロになんてことも。


 なるべく薬剤に頼らず、対応したいのはやまやまですが、今年みたいに気温が高くなると、害虫の活動も活発化する可能性が考えらます。


 私たちも、食料安全システム上、病虫害対策をなるべく、薬剤に依存しない方法を研究しています。ただ一言言えることは、作物の生育中に、栄養不足による貧弱な生育、肥料の過剰施肥による、メタボリックな生育、どちらでも病虫害の被害にあう確率が格段と上がってしまいます。健康な作物の生育であれば、病虫害に対する免疫力も高く、被害も少しで済むようです。これは、私たち人間の体と同じですね。バランス良い作物生育を行っていきましょう

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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