いとしま伝説の時代

いとしまの人々とお地蔵さま

 先週のお話の「人好き地蔵さん」は、「山ノ田地蔵」「松隈地蔵」などとも呼ばれ、現在でも毎年四月には法要が行われるなど、地域の人々に親しまれ、大事にされています。


 「お地蔵さま」は、昔から多くの人々に親しまれてきた身近な仏さまです。以前はもっと身近な存在で、集落にある地蔵堂では、例年お祭りや子どもたちのお籠(こも)り(お泊り会)などが行われていましたが、今ではあまりみられなくなりました。


 とはいえ、今でもお地蔵さまの前を通ると、誰かが赤い前掛けをかけていたり、花などのお供えをしてあったりするのをよく見かけます。また、事故や災害などで犠牲者が出た場所にも、供養や安全祈願でお地蔵さまがたてられています。


 お寺の中より、外で見かけることが多いせいか、民話や昔話に登場することも多く、「笠地蔵」や「しばられ地蔵」「みちびき地蔵」といった有名なお話もあります。


 糸島の伝説でも、今回紹介した「人好き地蔵さん」をはじめ、「身替り地蔵」「駒引地蔵」「血浴び地蔵」「釜負いの幽霊」「幽心土手」など、お地蔵さまにまつわる話は少なくありません。


 お地蔵さまは、今でも変わらず人々の素朴な願いを受け止め、見守ってくれる仏さまなのですね。

 (志摩歴史資料館)

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