福吉中と山口の生徒が交流
糸島市の福吉中学校と山口県防府市の国府中学校の生徒たちが「鳴き砂」を通して自然環境を保全する大切さを学ぶ交流活動をした。今回の活動を通し、初めて「キュッ、キュッ」と鳴く音を聞いた福吉中の生徒もおり、きれいな砂浜にしか存在しない「地域の宝」を受け継いでいく大切さを学んだ。
交流活動は、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターが催した。第26回「海辺の教室in福岡・糸島~鳴き砂の海岸活動が結ぶ若者と地域の輪~」と題し10月31日、福吉中で実施。福吉中1年生15人と国府中科学部2年生5人が参加した。
国府中科学部は、漂着ごみの調査や、鳴き砂とカブトガニを中心に研究を進めている。海洋分野の研究発表会「マリンチャレンジプログラム」の地方大会(今年8月)で「プラゴミからカブトガニと鳴き砂を守れ」と題して発表、優秀賞を獲得した。来年2月の全国大会に向け、さらに研究を進めている。
交流会では、国府中の生徒が鳴き砂と漂着ごみの関係について発表。実際に砂を鳴かせてみる体験を行い、乳鉢に入れた鳴き砂を乳棒で突くと甲高い砂の音が教室に響き渡り、福吉中の生徒たちは「鳴き砂って本当に鳴くんやねー」と驚きの声を上げた。
その後、生徒たちは、姉子の浜に見学に出向いた。鳴き砂は砂に含まれる石英の粒子が擦れ合って鳴る音で、姉子の浜では環境の変化で一度、鳴かなくなったが、水質浄化などによって再び鳴き始めたとされる。生徒たちは、砂浜をすり足で蹴るように歩き、耳を澄まして鳴き砂の音を何度も確かめていた。
姉子の浜は今年7月、降り続いた雨の影響で大量の漂着ごみであふれたが、今ではすっかり片付けられている。「鳴き砂を守る会」会長の横尾俊一さん、福吉コミュニティーセンター長の姫野吉秀さんは「地道な地域住民の清掃活動によって鳴き砂が維持できている。みなさんも鳴き砂を守る清掃活動にぜひ参加してほしい」と生徒たちに語った。
国府中科学部顧問の藤村佳子さんは「生徒たちが研究を始めたのは、鳴き砂を体験し、感動して興味を持ったことがきっかけ。姉子の浜のごみが少ない海岸を見て、地元の方がたくさんの努力をして鳴き砂を守っていることが伝わってきた。福吉中の皆さんも守り続けていってほしい」と、豊かな自然を残す活動の大切さを訴えた。
(地域特派員・澤野香織)