コラム まち角

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 糸島の野菜は、どうしておいしいのか。それは豊かな自然に恵まれ、その養分を畑にうまく取り入れる仕組みがつくられているからだー。福岡舞鶴高放送部の生徒たちが高校生向けに、糸島の野菜が元気に育つ由来を探るビデオ作品づくりに取り組んでいる▼その取材活動として、ドクター古藤こと、JA糸島の古藤俊二さんにインタビューをするというので、見学をさせてもらった。古藤さんが強調して語ったのが「循環」という考え方だ。古藤さんは、JA糸島アグリ店で販売しているかき殻を使った石灰肥料「シーライム」について語り、地域の資源を循環させていく大切さを訴えた▼2010年に誕生したシーライム。ミネラルが豊富な糸島の海で養殖されたかきの殻を粉砕して製造し、それが畑で使われ、野菜づくりに役立てられている。一見、海の養分が陸に移されたように思えるが、実は、海には川を通して流れ込んだ山の養分が含まれている。かき殻を肥料にすることで、養分を再び大地へ戻しているのだ▼シーライムの開発は地域課題の解決にも結び付いた。今や、全国的に知られる糸島の焼きかき小屋。そこで出てくる大量のかき殻は一般廃棄物としてクリーンセンターで溶融処分されていたが、多くの燃料を必要とする課題が生じていた。それがシーライムの製造により、年400トンのかき殻が溶融処分ではなく、大地に還元されている▼ただ、これには、焼きかき小屋の来店客の協力が不可欠。かき殻と、ほかのごみを分別してバケツに捨ててもらわないといけないのだ。環境に負荷をかけないよう一人一人が自主的に行動する。まさに、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みそのものだ。

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1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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