催し多彩 森あがる
飲食や林産物販売 山の相談 最新の道具紹介
福岡都市圏の4市町が持ち回りで開催する林業振興研修大会(糸島市林業振興研修大会実行委員会主管)が11月23日、伊都文化会館多目的ルームで行われた。コロナ下を経て13年ぶりの糸島開催となった。
林業関係者だけではなく、森とつながる多様な団体が活動事例を紹介し、会場内には森の恵みを生かした飲食や林産物販売、山に関する相談コーナー、チェーンソーなど最新の山道具を紹介するなど多彩なブースが、糸島の間伐材を使った木製フレームのテントに並んだ。
大会冒頭には、同実行委が制作した大会公式ビデオが流れた。ヘルメットに鉈(なた)と山仕事の装備を整え、チェーンソーを肩に山に入り間伐や伐採をしながら山を守り育てる人、伐木を製材し流通に乗せる人、木材を削って磨き家具や木工品を制作する人、使う人の元へ届ける人-身近な木製品が手元に届くまでの様子が映し出され、参加者は熱心に見入った。
トークセッションでは、観光、教育、手作りマーケット、林業、音楽を通して、森とつながる多様なグループが活動の様子や思いを語った。
糸島市林業研究クラブに所属し、林業に従事する三嶋達也さん(33)は、林業をメインとする暮らしについて「森の中で身体を動かす気持ち良さと、間伐で森の中に光が差すとこちらの気持ちまで晴れやかになる」とその魅力を語った。
木材価格の低迷、頻発する自然災害による被害、後継者不足と森林、林業を取り巻く環境は厳しい。市の総面積のうち約45パーセントは森林が占める糸島の森も例外ではない。間伐を意味するTHINNINGと称するイベントを各地で主催する林博之さんは「『楽しい』を軸にいかにたくさんの人を巻き込むか。自然との付き合い方を子どもたちに伝えていくことがこれからは大事」と強調した。
本大会を中心になって創り上げた農林業を営む吉村翼さん(36)は「森は素材生産の場だけではなく、暮らしを支えるもの。林業や森について楽しくわいわいと情報発信する場となった」と手応えを語った。