【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.101(12/20号掲載)

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直売所の魅力①「博多じょうもんさん」

 去る10月21日に、JA福岡市産直市場「博多じょうもんさん」のスタッフ研修で、直売所についてのお話をする機会をいただきました。「博多じょうもんさん」はJA福岡市直営で、福岡市内に5店舗、イオンなどのインショップとして4店舗を出店。市内の生産者の手で丹念に育てられた新鮮な野菜や果物、花卉(かき)などを中心に販売し、全店舗、連日たくさんのお客様でにぎわっています。

博多じょうもんさん入部店の店内
博多じょうもんさん入部店

 「じょうもんさん」のイメージイラストとロゴには、福岡市営地下鉄の駅マークでおなじみの故・西島伊三雄氏によるデザインを起用。「じょうもん」とは博多の古い方言で「上等」などを意味し、福岡・博多の地域に根ざし、生活する方々とともに育つブランドを目指しネーミングされたそうです。

 さて、過去の統計(注)によると、全国には1万6,816店舗の直売所が運営されているそうです。ちなみに食料品スーパーは1万7,865店、コンビニは4万3,684店となっており、それぞれ地域の方へ大切な食材や生活用品を届ける場所となっていますね。

 全国の食材が集まり、何でもそろっている食料品スーパーは確かに便利な存在だと思います。各要所に店舗があるコンビニは、機能性サービスが高く、手軽に利用できるのが利点です。一方、直売所の魅力といえば、鮮度や価格、食材に付随する地域の食文化などが連動しているところでしょう。

ブランドのカブ

 それと、「人」のつながりが一番大きいと言えます。地域の生産者が早起きして、収穫、荷造り、出荷。直売所スタッフによって、新鮮さを求める消費者へ供給。まさに、直売所は「食の懸け橋」といわれるのもよく分かります。

 近年は、働き方改革や人手不足、コスト削減などのため、ディスカウントスーパーをはじめとして、セルフレジが急激に増えてきました。また、現金を扱わないキャッシュレス決済も急速に普及し、買い物も人の手を介さない自己完結型が主流となってきていますね。

 ところが、直売所内で一定時間様子を見ると、スタッフの方が、お米の精米中に消費者との笑顔の談話。売り場では、つい先ほど入荷した新鮮な野菜の食べ方の相談。出荷者の方と消費者の方が真剣な顔をしてのお話。直売所ならではのいろんな光景が目に飛び込んできます。

 小さなお子様連れの若いご夫婦が、みずみずしい葉のホウレンソウを手にしておられました。私が、何気なく声をかけると「子供においしい野菜を食べさせたくて」とのこと。まさに、朝採れ野菜の強さ。「新鮮な野菜は、そのまま素地を生かしたいですね」とお話しすると、「ホウレンソウと卵のふんわり炒め」を作ってお子様に食べてもらうそうです。

 いや~聞いただけでおいしそうです。直売所ならではの「人のつながり」。生産者の栽培、収穫の喜び。消費者の心とお腹の満足。私がよく使用する言葉で「畑から台所まで」。大地で育った農産物が台所まで届くまでを応援するのが直売所の役目。スタッフの方々と消費者のつながりを通じ、さらに地域と博多じょうもんさんが盛り上がっていくことを願っております。次回は、博多じょうもんさんのおすすめ野菜などをご紹介いたします。

 (注)直売所実績は、農林水産省「平成21年度農産物地産地消等実態調査」、食料品スーパー、コンビニの実績は経済産業省「平成19年 商業統計」による。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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