【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.61(2/16号掲載)

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「雨水」に行う農作業

 2月19日は、農業暦の雨水。雪が雨へとかわって降り、寒さは続きますが、大地では草木の芽吹く頃。でも、暖冬傾向ですかね、雪より雨が多くなっているようです。

 この時期は、農作業にとっては重要なシーズンで、ポイントがいくつかあります。

 一つ目は、家庭菜園、地産地消市場でも大事な野菜の仕込みと防除。まずは、バレイショ。3月中旬に芽を出すためには、種の植え付け適期。ニンジンの種まきは終盤。収穫まで4カ月を要し、種まきが遅くなると収穫時期が梅雨期にさしかかり、腐敗や割れなど品質の低下が著しく起こってしまいます。

 厳しい寒さが過ぎ、雨が多くなるとタマネギの難病害「べと病」の発生が加速します。この時期のタマネギ病害防除は、収量や品質に大きく影響します。カルシウム専用肥料の追肥を行い、タマネギ全体を固い細胞にすることで、耐病害性が向上します。プロや直売出荷生産者は、規定された薬剤を施用し、病害発生抑制に努めています。

 二つ目は、春夏野菜栽培に向けた土作り「寒鋤き」。夜間満天の星空の翌朝は、畑も真っ白になるほどの霜が降ります。この強い霜を利用するのが、寒鋤き。霜を利用して、土壌の病虫害を低温遭遇させ、減滅させます。逆に厳夏期は土壌をビニールで覆い、太陽熱で土を蒸し焼き。ともに有機的栽培を目指す土作りの手法です。寒鋤きは細かく土を耕すのではなく、剣先スコップで土の下層を表層とひっくり返す天地返しが有効です。土壌中のコガネムシやネキリムシ、病原菌が死滅し、さらに表層の雑草も退化し、土中に酸素も供給され、膨潤な土が形成されます。

寒鍬き後凍った土

 「明日は放射冷却で朝は冷え込む」なんて天気予報がでたときは、最大のチャンス。天地返しをした後、土にタップリ散水すれば翌朝には土が凍り、効果倍増。このタイミングでしかできない究極の土作りです。

 三つ目は「野菜本来のうまさ」。天気の良い日中は、日差しも心地よく、露地野菜のキャベツやブロッコリー、ダイコンは燦燦(さんさん)と輝く太陽光線で盛んに光合成を行い、葉や根に養分を蓄えていきます。

 好天の翌日は霜。この霜こそがうま味成分増大の素。蓄えた養分を強い霜で葉や茎が凍らないよう糖分に変えます。この霜降り野菜のうまいこと。キャベツやダイコンも甘味を増します。

ほうれん草の霜
カリブロの霜
ケールの霜柱

 私は霜降りキャベツまる一個ごと、鍋に入れ、ベーコンと塩、胡椒で煮込み、スープにします。たいへんシンプルな料理ですが、うま味と栄養価を全量しっかりいただけるので、風邪などひかないですね。

 農業や園芸の楽しさは、この時期しかできない作業、この時期でしか味わえない野菜本来のうまさなどを体感できることと、四季や旬を五感で感じられることだと言えます。

 冬は終わりに近づき、春はすぐそこまで来ています。皆さんも農園芸を通じて、四季を楽しみましょう。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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