鶏のひな飼い卵自給

JA糸島女性部が活動推奨 安心な食へ市民ら共同注文

 小雨降る中、コンテナの中でピーピーと声をあげてひしめき合う鶏のひな。糸島市志摩のJA糸島食育研修センターいきいき前で、共同注文した鶏のひなの受け渡しが行われた。手作りの箱や段ボールを抱えて並んだ人々は、注文していた数のひなを次々に受け取り、持ち帰った。

 JA糸島女性部では、安心安全な農産物の自給を進めるため、飲食費の5割自給を目指す「自給5・5運動」を展開する。大豆の栽培や家庭菜園、果樹栽培を充実させ、家畜の飼育を推奨する。年1回のひなの共同注文はその一環。併せて、年2回鶏ワクチンの配布も行う。

 15日に行われた受け渡しでは、市内7カ所のJA支所を回り、業者と共に430羽のひな配布を行った。JA糸島の職員は「全国的に珍しい取り組み。佐賀や熊本からも受け取りに来ている。1羽から30羽まで規模も飼い方もそれぞれ。ペット扱いの方など農家でない方も増えた」と話した。

 姉妹でひなを迎えに来た神保海芽さん(11)杏さん(8)は1羽注文。「卵はおまけ。庭でペットとして飼う」と大事に胸に抱いて連れ帰った。常時20羽飼育し、新たに雌を9羽、雄を1羽購入した同市志摩芥屋の男性は「新鮮な卵を人にあげると喜ばれるからね」とほおを緩めた。

連れ帰るひなを順番に抱っこする姉妹

 同市志摩小富士の小富士物産直売所愛菜には自家用卵のおすそ分けが並ぶ。地元で精米所を営む川田進也さん(77)は、約30羽の鶏を飼い、自家消費分以外は直売所に出荷する。

 精米所横の陽光差し込む小屋に、真っ赤なとさかの凛々しい雄鶏や雌鶏がにぎやかに過ごす。小屋に二つある産卵箱に順番に雌鶏が入り、卵を産み落とす。川田さんは、朝晩餌をやり、夕方には産みたての卵を回収する。餌は精米所の籾摺(もみす)りの過程で出るくず米を中心に畑や台所で出る野菜くずなど。「魚のあら、骨、いりこだしなどなーんでも食べるから生ごみはほとんど出ない」。

小屋に入ると興味津々の表情で近づいてくる鶏たち

 「以前は精米に来た人が卵を産まなくなった鶏を持ち帰って捌(さば)き、鍋などにしていた」。子どもの時から鶏のいる暮らしだった川田さんは、気ままに過ごす鶏たちに温かなまなざしを注いだ。

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