ドクター古藤の園芸塾Vol.70【4/26号掲載】

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春夏野菜栽培 お客様の声Q&A

いよいよゴールデンウイークが始まります。旅行や魚釣り、ドライブなどで、人がどっと移動するのには驚きです。もし、ゆっくり過ごそうと思っている方はぜひ、野菜の苗を植え、おいしい野菜づくりを楽しんではいかがですか。そこで、今回は私のもとに寄せられた春夏野菜栽培のご質問、ご相談の一部をQ&A特集にしてみました。参考にしてみてください。

 Q1 ズッキーニの茎が倒れ、実の先端から腐ってしまい、何本かしか収穫できませんでした。意識的に授粉もしましたが、原因は何でしょうか?

 A 人工授粉もされたようですが、受粉不良だと大きくならないうちに実の先端から腐れやすくなります。また、ズッキーニは苗の数が少なすぎると雄花と雌花の咲く時期がずれたりし、受粉がうまくいかず、実が大きくなってきたなと思った時に腐り始めることがよくあります。雄花の花粉が充分付いていないことが原因と考えられます。

 ズッキーニは少なくとも同時に5株くらい以上の苗を植えないと、受粉のタイミング良い雌雄の花の開花がそろってくれません。開花初期は5株あったとしても最初は花が少なくて実の成りが悪いのですが、だんだん花が多くなってくると受粉状態が良くなります。さらに緑系のズッキーニ5株に対し、黄色系のズッキーニを1株植えたほうが、受粉がよくなります。

ズッキーニの植え方

 Q2 オクラの生育管理は、1本立ちがいいのか2本立ち、どちらがいいですか?さらに1条、2条植えどちらがいいでしょうか?ポットで苗を育てた方がいいですか?

 A 2本立ちで育てると、樹勢が抑えられて背が高くならず、花を咲かせるようになり、その結果収穫量が増えます。逆に、1本立ちだと生育が勝ちすぎ、実も硬くなりやすくなります。基本的には1条、2条どちらでも構いません。家庭菜園の方でしたら、小スペースを生かすために2条植え栽培で、たくさん収穫しましょう。

 オクラは種まき後の初期生育が非常に緩慢であるため、畑に直接まいた後、低温や大雨に遭遇すると、生育どころか、発芽したオクラが消滅する危険性もあります。

 オクラは本来、直根が強い性質ですので、ポット苗移植より、直接、畑に種をまいて育てた方が良いのですが、ポットで苗を育て、根を痛めないようにして定植するのもいいでしょう。

 Q3 種から育てた苗や接木されたキュウリの苗を栽培していますが、実がどうしても、曲がったり、先端が太くなったり、尖ったりし、プロの生産者みたいに真っ直ぐの実になりません。なぜでしょうか?

 A 皮がてかり、まっすぐ伸びたキュウリは見た目もおいしそうですね。実際、家庭菜園では、まっすぐ伸びたキュウリが採れるのはわずかで、後は、ご相談のように、実が曲がったり、先が太ったりするのは、キュウリの生育バランスが崩れている証。外的要因として、日照不足、低温、強乾燥などの環境ストレス、内面的には根の弱り、栄養不足、一気に実が着いてしまったことによる株の疲れなどが考えられます。

 実が変形してきた場合は、変形した実が小さいうちに摘果し、樹の疲れを軽減し、根が弱っていることも考えられますので、液体肥料を水に薄め、1週間に1度のペースで株元にタップリ与えると、復元が早まります。

 Q4 トマトの茎葉が青いままクタッとなり、枯れてしまいます。2年続けて実が色付く前に枯れてしまい、楽しみにしているのに、収穫できませんでした。何が原因ですか?

 A 同じ所で育ててしまうと発生しやすい、典型的な土壌病害「青枯病」です。土壌に悪玉のカビ仲間が増え、トマトやピーマンなどナス科野菜を枯らしてしまう怖い病気です。

 今後は、病気の発生したところには、バレイショなどを含めたナス科野菜は5年間植えない▽堆肥など有機物を使った土づくりを行う▽排水をよくするーなど土の改善を図りながら、病原菌の少ない土づくりが重要です。栽培本数が少ない家庭菜園の方は、大きいプランターを使って、トマトを育てるのも良いでしょう。

 ほんの一部ですが、たくさんの方々より、栽培に関してのご質問をお受けしております。皆様も何か気になることがありましたら、新聞社までお問い合わせくださいませ。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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