住民主体でつくる通いの場
地域住民やボランティアが運営主体となり、地域の高齢者が気軽に集い交流を深める「地域ささえあい通いの場」。同市高田西の町田晴子さん(69)は仲間4人と「通いの場てげてげ」を昨年11月に開設した。週に1回集まり、いすに座ったままできる運動トレーニングなど糸島市の指定する運動プログラムを1時間行い、後半は脳トレや口腔トレーニングなど独自のメニューを用意し、地域で暮らす高齢者と2時間を過ごす。
市社会福祉協議会主催の「地域ささえあいサポーター養成講座」を昨年5月に受講して、今の自分にできることはこれだと通いの場開設に取り組んだ。5年前に介護の末、母を看取った経験も後押しした。95歳まで要支援1程度だった母が自宅で倒れて要介護4に。ものを飲み込む嚥下(えんげ)機能の低下に直面し「元気なうちに口腔トレーニングをやっておかなければいけなかった」。当初16人だった参加者は口コミで28人に増えた。「10年後の自分のためにも今やるしかない。参加者の皆さんに、自分のペースでてげてげ(ゆったり、ほどほど)と過ごしてもらえたら」と思いを話す。
23日は3カ月に1度の運動機能評価のための体力測定の日。徒歩や自転車で三々五々集まった参加者は、握力を計ったりバランス感覚を確認する歩行テストを受けたり、身体機能と疲れやすくなったと感じるかなど自覚症状をチェックした。
開設当初から参加する井上キクヨさん(89)は「人の手とらんのがいいとやけん。毎回ありがたくお勉強させてもらってます」と破顔した。立ち上げからサポートする市前原東地域包括センターの北島やよいさんは「自宅で1人ではなかなか運動はできない。自分で外に出て、みんなと会って、話したり身体を動かしたりすることは、介護予防に本当に効果があると感じる。1週間空くと分かるくらい」と笑顔で見守った。