NHKの連続テレビ小説「おむすび」(橋本環奈主演)の舞台の一つ、糸島市。同市波多江で「糸島写真館」を営む渡邊精二さんは2011年、東京から移住してきた。海が近くの志摩芥屋に住んでまず驚いたのは、見渡す限り空が広がる光景や、食べ物の新鮮さ。近所の漁師にもらった生のタコを自分で塩もみし、ゆでて食べた時の感動は忘れられないと笑う。
渡邊さんがカメラマンとして大切にしているのは、相手とのコミュニケーションだ。リラックスした雰囲気の中で雑談や質問を重ね、その人らしさを引き出す撮影スタイルには、前職である新聞記者の経験が生かされている。家族や友人同士が寄り添い、顔をほころばせる写真からは、今にも楽しげな笑い声が聞こえてきそう。
「心の距離を縮めて、『ああ楽しかった』と帰ってもらえたらうれしい。写真を見るたび、その時の体験まで一緒に思い出してもらえれば」。自然体でそう語る渡邊さんの目標は、“人を笑顔にすること”だ。
(地域特派員・廣瀬恵子)