【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.75(6/7号掲載)

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スイートコーンとスイカの中間管理

 春に苗を植えたあと、よく相談をうけるのが生育の中間管理。

 「古藤さん、スイートコーンの苗を植えるとき、ポットに3本苗が入ってて、そのまま植えなさいと言われたので、その通りにしていたら、3本ともどんどん大きゅうなってたとばってん、どうしたらよかとですな」とご相談。

スイートコーン

 苗を畑に植えこんだ後は、「ネキリムシなどの食害」「強風による風害」「根の傷み」「発根不良」などの影響を見込んで、1本ごと分けて植えるのではなく、2~3本とも植えこみます。その後、植えた苗が順調に良く生育すると必ず間引きが必要です。「間引いたら、もったいなかろうもん」との声。確かに1本の株から1本の果房収穫を狙うので、気持ちはよくわかります。

 では、間引きをしないとどうなってしまうのか?

 ◎養水分、日照の奪い合いが起こり、3本とも生育が悪化してしまう
 ◎各株元から倒伏防止にもなるからか、強い分枝が出るため、有効スペースがとれない
 ◎隙間がとれないため、通気性などを確保できず、アブラムシなどの発生源になる

 以上のような案件で、間引きはしっかり行い、行ったあとは、しっかり追肥を与え生育を加速させてください。また、連日、降雨不足など厳しい乾燥状態が続くと、子実が少ない果房になりますので、散水に加え、希釈液体肥料を与えるようおすすめします。

 次に相談が多いのが、「スイカの苗を植えたばってん、何かどこかで摘芯せんといかんとか言いようんしゃったごたあ。その時はふんふんと聞いとったばってん、ようわからん」「だいぶん、ツルの伸びとるばってん、どこば、どうするとですな」と相談。

 スイカを含め、カボチャや甜瓜(てんか)など地這(じば)え苗を植えたあと、一時はおとなしい生育ですが、一定期間(定植1カ月前後)過ぎると、一気にツルを伸ばしていきます。

 そのままにしておくと、主枝が勢いよく伸び、実をつける他の子ヅルが生育を低下させてしまいます。一般的なスイカ(小・中玉系)は1株から4個も収穫目安を立てます。親ヅルを摘芯することで、生育の勢いを抑え、逆に元気な子ヅルを伸ばし、その子ヅルに養分を集中させ、充実した果実の収穫を促します

 摘芯の理想は、苗定植後、親ヅルの6~7節伸びた状態で、親ヅルの生長点(先端)を親指の爪でちょんと摘み芯を落とすだけです。

 ポイントは力強い4本の側枝に加え、なるべく長さがそろったツルを残し、あとは除去してください。目標着果節位(16~20節)までの側枝は、早めに除去します。

 着果節位以降の側枝は基本的に残し、玉の肥大促進のために葉面積を増やします。追肥は草勢を見ながら、着果を確認したつる先に、3成分(チッソ、リン酸、カリウムが各8・8・8の場合)130グラム/坪目安を施してください。

 その時点で生育の判断は、ツルの太さが鉛筆くらいで、ツル先が軽く上を向いているのが、生育が安定しているサインです。万が一、ツル先が空を向くようにそそり立っていたら、栄養供給が過剰で、逆にツル先が持ち上がってない場合は、栄養失調生育と判断します。

 現在は、スイカの品種改良もかなり進み、果重が1・5キロ前後、糖度は11~12度平均。肉質はやや硬めでシャリ感が強く、多汁質なため糖度以上に甘味を強く感じ、雌花の発生も良く着果性に優れて作りやすい超小玉品種も商品化されています。

 来年の栽培を視野にいれながら、今年作っている作物の収穫に向け、頑張ってください。

 (シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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