雷山小で平和学習
第二次世界大戦末期の1945年6月19日、米軍の爆撃により8人の尊い命が奪われた雷山空襲から79年を迎えた19日、糸島市蔵持の雷山小学校で平和学習が行われた。5、6年生75人は、香力の大原輯一(しゅういち)さん(79)と蔵持の榊勝さん(82)から話を聞き、平和の大切さについてあらためて考えを深めた。
大原さんは、生後6カ月の時に被災。母親に抱えられて裏山の防空壕に逃げ込み無事だったが、当時の記憶はまったくないという。戦後は空襲のことを話してはいけない雰囲気があり、親や地域の人から話を聞く機会はなかった。
そんな大原さんは11年前、香力の子ども会で開かれた雷山空襲の勉強会に参加し、被災者である山下凡夫(つねお)さんから空襲の話を聞いた。大原さんは「あってはならないことが起こっていた」と強い衝撃を受け、悔しさで涙がこみ上げるほどだったという。
空襲の記憶を風化させてはいけないと、大原さんは多くの被災者から証言を聞き取り、被害状況の一覧表を作成するなどして、現在は語り手として活動している。
平和学習では、大原さんはスライドを使って、被災者がどこに逃げ込んだか自作の地図で説明したり、爆風で頭がとれた地蔵や焼け焦げた家の写真などを見せたりした。
最後に大原さんは「家に帰ってから、お父さんお母さんに今日の学習会の話をしてほしい。そして一緒に戦争について考えてくれたらうれしいです」と語りかけた。
榊さんは、雷山大ため池から焼夷弾の破片がたくさん出てきたことや、空襲後に地元の人が米軍の兵士と話した際に「こんなのどかな村に爆弾を落としてしまい、本当に申し訳ない」と言われた証言を紹介。米軍が池の反射を工場と誤認して爆撃した可能性があることを説明した。
さらに6年生に向かい、失われつつある戦争遺跡を守るため「フィールドワークで使う、遺跡の説明板を卒業制作として作ってほしい」と呼びかけた。
二人の話を聞いた児童たちは「みんなが悲しむような戦争は、絶対なくさなければいけない」「未来の平和のために、自分たちも語り継いでいきたい」と思いを新たにしていた。