【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.78(6/28号掲載)

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梅雨の病害

 毎年のことですが、日照不足で活発な光合成ができず、生育が軟化状態になりやすいのが梅雨。生育の弱った野菜に追肥しても、根の活性が悪いために吸収力が弱く、元気になるまで一定期間を要します。こうして免疫力が低下したときに発生するのが病害です。

トマト

 茎や葉が黒く変色する「疫病」
 ガクの部分から灰色のカビが密生してくる「灰色カビ」
 葉に暗褐色の斑点となり、中心部に穴が開く「斑点病」

トマトに発生した「灰色カビ」

キュウリ

 葉が黄褐色に変色するのは「べと病」
 葉の表面に白色粉状のカビが生じるのが「うどんこ病」
 果実やしぼんだ花などに灰色のカビが密生するのが「灰色カビ」

ナス

 葉に茶色い大きな輪紋状が発生する「灰色カビ」
 下葉の片側半分が黄色化し垂れてくる「半身萎凋(いちょう)病」
 葉に暗褐色の輪状の病斑が発生し、中心に灰褐色の輪が見える「褐斑病」

ナスの「すすかび病」

キク

 葉裏に盛り上がった病斑を作り、葉表は変色するのが「白サビ病」

トルコキキョウー

 葉に黒くはっきりとした病斑が発生する「斑点病」

 人気野菜に発生する代表的な病害をご紹介いたしましたが、いやぁ、梅雨期は、あらゆる植物にいろいろな病害が発生します。その他、バジルやシソ、モロヘイヤ、つるむらさきと今まで病害などが発生しにくかった作物まで、病原菌の発生が拡大しているようです。

 高温多湿で日照が少なく曇天な環境下では、土や茎葉、花、実すべてが乾きにくく、病害にとっては菌の発生しやすい環境が整っています。

 私たちの暮らしの中でも、洗濯物が乾きにくく、コインランドリーが大流行なのもよくわかりますし、衣類など収納した押入れには、除湿剤をたくさん置くなどして対策が大変です。電気代が高騰してもエアコンや除湿器はフル回転。
 では、作物はどう対処すべきでしょう。おおむね二通りですかね。

 一つは、株元近くの余計な葉や脇芽を剪定(せんてい)したりし、風通しが悪くなり湿度が高くなるのを防ぐこと。しかし、剪定口から菌が侵入する可能性も注意しなければなりません。

 二つ目は薬剤散布。この時期を乗り越えるためには、早期予防が最重要。おすすめは「アミスター20フロアブル」「ん、野菜の病気に困っているときは、これっ」とさまざま病害対策にプロの生産者にも活用されています。既定希釈倍率で、散布してください。

アミスター20フロアブル

 年々、気温上昇や降雨量変化が顕著になり、作物栽培が難しくなっているようにも思えます。しかし、大切な食料を守っていくのも私たちの義務。

 栽培技術を高め、プロの生産者だけでなく、園芸を楽しんでいる方へ、よりよい情報を提供していきたいと思います。

 (シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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