商工業者の課題解決へ
糸島市が支援事業スタート
糸島市は、新商品の開発や販路拡大、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化などさまざまな課題を抱える市内商工業者と、首都圏の大企業で働きながら専門的な知見や経験を生かした副業を行う人材との橋渡しをする支援事業を開始した。
市商工振興課によると、市内の商工業者の6割以上が従業員5人以下で、営業や経理、総務などの専門部署が設置できずに経営者が一人何役も担うようなケースが多い。そのため忙しく経営判断が遅れたり、成長のチャンスを逃したりしているという。
現在、大企業の多くが副業を認めている。国も「副業・兼業の促進に関わるガイドライン」を策定し、小規模事業者の課題解決に副業人材の活用を促しているが、「市内での活用事例は少なく、商工業者も、市商工会などの支援機関もノウハウを持ち合わせていない」(同課)のが現状。
そこで市が委託する業者「株式会社カルビン」(本社・東京都港区)が市内商工業者の課題を洗い出し、解決に向けた知識と経験がある人材とマッチングし、課題解決までの過程を伴走支援する。また、事業成果を積極的に発信することで、「副業を行うプロ人材の活用を市内に浸透させたい」としている。
同課は「副業は、本業のすき間時間を使うので、常にコンタクトが取れるわけではない。その認識がないと課題を解決できる前に中途半端で終わってしまう心配があるが、今回はカルビンに間に入ってもらい、両者の調整を取ることで、最終的な課題解決まで持っていきたい」と説明。
プロ人材の人件費(月額3~5万円)などは、事業者が負担する。市の事業費は600万円(うち半分は国交付金)。
本年度10社を募集。申請期間は19日まで。今後3年間で30社の支援を行う計画。17日午後5時から、市商工会館で事前説明会(同課に申し込みが必要)を開く。
月形祐二市長は「副業プロ人材を活用していただくことで、市内の商工業者の皆さんに事業を拡大していただきたいし、それが市の活性化につながれば」と期待を込めた。