【糸島市】《糸島新聞連載コラム まち角》水のパワーに感謝

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 暑くなると、休日の楽しみにしているのが佐賀市の山あいにある温泉での湯あみ。浴槽の床面にある湧き出し口から、体温ほどのぬるめの温泉がこんこんと流れ出し、心ゆくまで清らかな温泉に身を浸す。心身がすっかりと癒やされたとき、透き通った水がもつ底知れぬパワーを感じる▼「体は水でできている」という言葉を聞かれたことがあるだろう。「知られざる水の化学」(齋藤勝裕著)によると、体の構成成分に占める割合は水が最も多く、成人男性だと、体重の約60パーセントに上る。体内の水は総称して体液と呼ばれ、栄養素や酸素の運搬、老廃物の排せつ、体温の調節など、生命の維持のために重要な機能を担っているという。あまりにも身近な存在だから、そのありがたさがなかなか実感できない▼ただ、宇宙に視野を広げると、水が液体として存在すること自体が奇跡だ。「地球以外に生命を宿す天体はあるのだろうか?」(佐々木貴教著)では、生命を宿す可能性がある天体の環境について「液体の水があること」にこだわる。さまざまな元素が混じり合い、化学反応を起こすことで、生命は誕生し、進化してきたという。いろんなものを溶かし込む水は、生命を生み出せる特別な物質だ▼ただ、液体として存在していた水が失われたとされる惑星がある。火星は過去、温暖湿潤な気候だったと考えられているが、重力が弱く、覆っていた大気が次第に宇宙空間に飛んでいってしまい、カラカラに乾いた寒い星になったという▼熱中症が多発するこの時期、思い出すのが「運動中に水を飲んではいけない。ばててしまうぞ」という、昔、聞いたまことしやかな言葉。今は運動の途中でも適切に水分補給をするのが当たり前になっている。朝起きて一杯の水を飲んだ時、体に染みわたる心地よさ。毎朝、水に生かされていることを実感し感謝している。

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