糸島市が冊子作成
戸建て住宅の所有者が亡くなった後、家族が家に住み続けるのか、それとも売却や賃貸など別の誰かに引き継ぐのか、家族で話し合うきっかけにしてほしいと、糸島市は冊子「わが家の未来ノート」を作成した=写真。“わが家”の方向性を決めることで、空き家となってしまうことを防ぐのが狙いだ。
市が2022年度に実施した調査では、市内の空き家は1,075戸。10年前の12年度の調査から約300戸増えた。現在、空き家となっている家の多くは、所有者が高齢化して老人ホームなどの施設に入所したり、死後の相続に時間がかかったりしているのが原因。
市コミュニティ推進課は、空き家を放置することで「倒壊や火災が発生する危険が増したり、不法侵入や盗難、放火など治安が悪化したり、スズメバチや蚊、ハエが発生するなど近隣住民の迷惑になり、老朽化が進んで資産価値の低下にもつながる」と説明する。
同冊子はステップ1から4に分かれ、長期間空き家になった場合のデメリットについて説明するページや、自分の生年月日や本籍地、もしものときの連絡先を記入したり、現状を整理するため、所在地と建物の地番や名義人を書き込んだりするページもある。
ステップ3では、所有物件を売却や賃貸、贈与、解体するケースや、相続する場合の主な相談先、それぞれのケースで準備しておくべきことなどを掲載。また、住宅を維持管理するためにはどれくらいの経費が必要になるか概算費用を算出できる。
ステップ4では、これまでの段階を踏まえ、住宅を今後どうしたいのか、方向性を検討し、自分の意思を記載するページとなっている。参考として、相続に関する各種制度や相談機関の窓口、市の空き家対策事業などについての情報も載せている。
同冊子はA5版フルカラー32ページ。同課や市内各校区のコミュニティセンターに設置しているほか、空き家オーナー相談会などでも配布する。
同課は「すでに空き家を持っている人には、空き家の利活用の手順や方法などを理解していただき、今所有する家に住んでいる人には、空き家になる前からわが家の未来について考えていただき、家族で話し合うきっかけにし、行動につなげてほしいという視点で制作した」と話している。
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