ハローピースアクトが船越地区訪問
糸島市内の小中高生を中心としたメンバーで平和劇を行う「いとしまハローピースアクト」が7月20日、同市志摩の船越地区を訪れ、平和劇のためのフィールドワークを行った。
今年の平和劇のテーマは、太平洋戦争末期の1945(昭和20)年に志摩船越を中心に設営された日本海軍の秘匿(ひとく)航空基地「海軍航空隊玄界基地」の物語。船越湾に面して建つドーム型の納骨堂前にある、基地の記念碑に集合し、船越漁港周辺を歩きながらその歴史の跡をたどった。お昼には、戦時中の食事を再現した「カテ飯」と「すいとん」を食べ、当時の暮らしぶりに思いを馳せた。
敵からの空襲を避けるため基地であることが分からないよう設置された水上機の秘匿基地。同団体の代表江川佳世さんが、目の前に広がる海を見ながら「水上から飛び立ったり、着水したりするためには穏やかな海面が必要だった」とこの地が選ばれた理由の一つを話した。1000人以上いたと言われる兵員は近隣の民家に分宿し、当時の人々の暮らしと深く関わっていたことも伝えた。
全長約10メートルはあった水上型偵察機「瑞雲」の格納場所だったと伝えられる、のどかな棚田を眺め子どもたちは「こんなところに飛行機を隠してたなんて信じられないね」と身近に存在した戦争の痕跡を巡った。
その後、同市の引津コミュニティセンターに移動し、保護者が用意したダイコンや大豆、海藻でかさ増ししたカテ飯と根菜の汁に練った粉を落としたすいとん汁を食べた。「貴重な米を極力使わず、粉ものでお腹を満たしていた」という当時の食生活について話し合いながら、味わった。
午後からは公演に向け、セリフの練習などに取り組んだ。引津小3年の渡邊はるさんは「みんなに戦争の怖さとか、昔はどんな思いで暮らしていたか知ってほしいし、最後は観客のみんなが観てよかったと笑顔になるような舞台にしたい」と意気込みを語り、「平和に過ごせる環境を守っているのか、考えてほしい。一つでもできてなかったら、少しでも平和についてできることを考えて取り組んでほしい」と思いを語った。
絵解き・ 平和劇のパンフレット挿し絵