【糸島市】魂のピアノ演奏会 ケガで指に障害残る空音唱さん

糸島で来月14日

 思うように指に力が入らないという苦難を乗り越えた、ピアニストで作曲家の空音唱(くおんしょう)さん(65)。糸島市の伊都文化会館で9月14日、「Happyになりますように!」と題したコンサートを開く。長く苦しさや悲しさを味わった空音さんが「“必ず明日はある”という希望を伝えたい」と思いを込めて演奏する。

 小学1年からピアノを習い始め、音楽が大好きだった空音さん。11歳の頃、近所の大型犬に両肩をかまれて大けがを負い、指や肩などに障害が残った。

 九州大学を卒業後、製薬会社の研究員に。しかしピアノへの思いを断ち切れず、2年で退社。音楽教室を始め、再び鍵盤に向かった。「この指でも弾ける曲を自分で作ろう」と、独学で作曲にも取り組み始めた。

 2時間のコンサートを目標に、20年以上かけてリハビリを続けた。思うように演奏ができず、生きる気力すら湧かない日もあった。そんな時は、自らの力で困難を乗り越えた人の本を読み、気持ちを奮い立たせた。今は亡き夫の達雄さんも毎日1時間、気功を使った整体マッサージをしては、励まし支えてくれた。

 「生きる道筋は傷からすべて学んだ」という空音さん。根気強く治療を続け、2007年に念願の初コンサートを開催。今年の4月には、ニューヨークにある音楽の殿堂、カーネギーホールの舞台に立ち、自作の曲を演奏した。自身が理想とする音を追い求めた演奏、また「ふざけることが大好き」という笑いに包まれた舞台に、満席のスタンディングオベーションが送られた。夢のひとつを叶え「最高の瞬間だった」と振り返る。

障害を克服するため、独自のタッチで演奏する空音さん
自ら探した共演者たちと演奏を楽しんだ
音楽の殿堂、カーネギーホールで笑顔を見せる空音さん

 今回のコンサートは「四季折々で変化する、糸島の自然と会話しながら」作ったというオリジナル曲を演奏。ソプラノ歌手やバイオリン、パーカッション、二胡(にこ)の奏者と共演し、独自の世界を披露する。

 「みんなに楽しんでもらえるコンサートにして、音楽とのかけはしになりたい」と来場を呼びかける。
午後2時開演、シングル3,000円(当日3,500円)、ペア5,000円(前売りのみ)。

申し込み
岸景観工房音倶楽部
090(7452)5956
kabanyanko@iga.bbiq.jp

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次