糸島の夏を締めくくるイベントとして長年にわたって多くの人々に親しまれてきたサンセットライブが7、8日、ファイナルを迎えた。会場の糸島市志摩の芥屋海水浴場には、2日にわたって、過去最高の約2万人の観客が訪れ、自然と音楽が一つになったサンセットライブとの別れを惜しんだ。
1993年に始まり、今年で30回目を迎えた同ライブ。会場には、南国気分を盛り上げる装飾が施され、大小合わせて六つのステージが配置された。ボランティアスタッフの笑顔に誘導されながら、訪れた人々は会場内を巡った。日中の厳しい日差しの中では海遊びを楽しむ姿も見られ、出店で飲み物や食べ物を買い求め、観客たちはそれぞれのスタイルでライブに酔いしれた。夕暮れ時には厳しい暑さも和らぎ、空は茜(あかね)色のグラデーションに染まった。西の空にかかった三日月が細く輝く頃まで、会場は熱気に包まれた。
佐賀県から訪れた大島仁美さん(40)は「初めて参加したが、水着の人がいたり、遊び疲れた子どもを抱いている人がいたり、老若男女がいて、とてもハッピーな雰囲気だった」と笑顔で語った。
観客が音楽に身を揺らすステージ横では、パネルに絵を描きすすめるライブペイントが行われた。17年前から毎年参加する絵画作家グラビティフリーの2人は、「forever(いつまでも)」という言葉を入れた絵の前で「サンセットライブは終わるけれど、心の中にはずっとあり続ける。最後だけれど、いつも通り描きあげる」と絵筆を動かした。
15年以上前に会場のゴミ拾いボランティアをしていたという女性は、「当初はお客のマナーが悪く、ゴミがあちこちに捨てられていたけれど、今は分別もしっかりされており、とてもきれい」と当時を振り返り「今年はアーティスト同士のセッションもあり、より楽しめた。ほんとに終わってしまうのかと思うとさびしい」と胸の内を明かした。
同ライブを立ち上げた林憲治さんは「いろんな仲間が集い、手作りで一大イベントに成長させてきた。ファイナルを楽しむお客さんの様子に、今は『やりきった』という気持ち」と話した。