【糸島市】はだしで渡る「日渡り護摩」

今津の誓願寺

 開運や厄除けを祈り、燃え盛る炎の後に残った炭の上をはだしで渡る「火渡り護摩」が17日、福岡市西区今津の誓願寺で行われた。参拝者たちは、護摩木に託した願いを炎に供え、修験僧姿の僧侶らに続いて炭の上をはだしで歩きながら、それぞれの願いごとを心の中で唱えた。

炭の上をはだしで火渡りする僧侶

 誓願寺は筑前怡土(いと)・志摩(しま)両郡に広がる荘園「怡土荘」の豪族の発願により、1175年に臨済宗の開祖である栄西を招いて創建された歴史ある寺院。今津干潟を望む山腹にたたずみ、地域の人に親しまれている。

 護摩行は、僧侶が吹くほら貝の低く太い音色で幕を開けた。境内に現れた僧侶たちが赤、黄、紫などの紙垂(しで)飾りを振るなどして、魔除けの儀式を行い、ヒノキの青葉が積み上げられた護摩壇に火が点けられた。バチバチと乾いた音と共に白煙が立ち上り、太鼓やほら貝、僧侶の振る鈴の音に重なる読経が、境内全体を包み込んだ。白煙と赤い炎が風に流され、あちらこちらに揺れ動く中、参拝者が事前に願いごとを書き込んだ護摩木は、僧侶の「えいっ」という力強いかけ声とともに次々と炎に投げ込まれた。火が鎮まると青竹で燠(おき)がならされ、祭壇までの「火渡りの道」が整えられた。両脇からまだ白煙がのぼる中、僧侶らが火渡りを行うと、参拝者たちも後に続き、手を合わせながら熱気の残る炭の上をはだしで歩いた。

福岡市西区田尻から訪れた黒瀬庸子さんは、子どもや孫と毎年参拝しており「今年も家族が健康に過ごせますようにと思いを込めて渡った」と話した。孫の一人は「やけどしないかドキドキしたが、無事に渡れてよかった」と笑顔を見せた。

糸島新聞ホームページに記事掲載

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